深沢用地の浸水リスクについての専門家発言  ~12月議会振返り①

本庁舎等整備委員会の会議録の記述についての陳情
12月11日の総務常任委員会では、第4回本庁舎等整備委員会(2018年11月)の会議録中の委員発言の記述について、話された言葉のとおりでないことを問題視して「そのままの発言を開示すること」を求める陳情の審査が行われました。

審議会等の記録については、発言者の意図や会議の進行状況が正しく伝わることが大切で、話された言葉のままとせずに文章を整えることが一般に行われており、それ自体は問題ありません。その代わり、会議録の記載内容に疑義が出された際に検証することができるよう、音声データは行政情報として相当期間保存しておくべきだと思います。
音声データは3か月経過後に廃棄するという現行のルールは、審議会等の設置期間や開催間隔などを考慮して弾力化することを求めた上で、陳情については議決不要とさせていただきました。

 

委員発言の核心は極めて示唆的だった
総務常任委員会には、第4回本庁舎等整備委員会を傍聴した議員が私を入れて3人出席していました。他の2人は委員の発言内容を問題にしていましたが、私は行政文書の作成と情報公開の観点から審査すべき陳情であると考え、委員発言についての見解は述べませんでした。
私が傍聴時に注目した部分は他の2人とは異なるので、発言全体に対する見解も大きく異なります。翌月開催の2018年12月議会の一般質問の中でこの委員発言をどのように受けとめたか述べているので、市議会の会議録から転載します(部長の答弁も付しますが、紹介したいのは質問部分です)。

・・・平成30年 12月定例会(2018年12月10日)・・・
【 保坂 】 深沢行政施設用地の災害リスクの捉え方についてです。第4回の本庁舎等整備委員会では、新たに加わった関根委員が、深沢の災害危険性について所見を述べられました。深沢についての直接的な所見というよりは、学者らしく、正確を期して慎重に言葉を選んだ内容でしたが、私は次の2点が示唆的であると感じました。
第1点は、
「最大級の外力を念頭に対策を講じると、経済的にも環境的にもとんでもない構造物をつくることになってしまう。想定災害には対策の基準がない。想定災害とこれまでの被災データの間のどこに対策の対象を設定するかが問題である」
ーという指摘です。これは書き取った内容をまとめたものなので、このとおりにおっしゃったのではないんですけれども、私はこのように理解しました。
「経済的にも環境的にも負い切れない負担となる」というのは、東日本大震災後の東北の沿岸部で、津波防御の巨大な堤防を築くべきかどうかが問題になっていることや、首都圏、近畿圏の5河川の下流部で整備計画がつくられているスーパー堤防を思い起こすと、容易に理解できます。1000分の1超過確率の降雨に対応しようとして、川幅を広げる工事をするのは現実的ではないということでもあります。これが第1点。
第2点は、実は委員はこちらのほうを先に述べられたのですが、2015年9月の鬼怒川の堤防決壊で、常総市で病院が被害に遭ったことに触れられて、
「病院、市役所、警察、消防は、できる限り被災リスクの小さいところに置くべきだ」
ーと言われたことです。

これは「想定最大規模の降雨量への防御的なハード対応を過剰にすべきではない」という意味に取れる第1点の指摘と矛盾しているようでいて、していません。
想定最大規模の降雨による洪水浸水のリスクへの対策は、ソフト対策としては、洪水予報の的確な伝達、避難場所、避難経路の整備、要援護者対応などの避難確保がありますが、本来的にはまちづくりや住まい方を工夫することによって、水害に強い地域づくりを進めていくことが望ましいのだ」ということではないでしょうか。
深沢地域整備事業用地のような、被災リスクのあるところに市役所を移転させることは、しかるべき理由を示す必要があると思います。いかがでしょうか。

【齋藤和徳 行政経営部長】 本市におきましては、地震によって引き起こされる建物や施設の被害に加えまして、津波や土砂災害、液状化、大規模降雨による洪水浸水や内水氾濫、土砂災害などが災害のリスクとして想定されます。災害リスクがまったくない場所というのは存在しないということでございまして、それにどう対処できるかが重要であると考えております。
人口重心のある深沢地域は、全ての行政地域に接するなど、全市的に見て中心的な位置にありますことから、本庁舎の移転先である深沢地域整備事業用地は、発災後の災害応急対策活動や、復旧復興の拠点として適しているものと考えております。
その上で、本庁舎と消防本部を近接して整備すること、あるいは災害対策本部と体育館、グラウンドなどが近接するということで、受援力も向上し、防災力の強化が図れるものというふうに考えております。こうした市の考え方を市民の皆様にも伝えて、御理解を求めていきたいと考えます。
本庁舎等整備委員会資料2018.11のサムネイル