鎌倉市涯学習センターの管理運営について (常任委員会報告)
2月22日開催の教育福祉常任委員会(以下、常任委員会)で、生涯学習課から「鎌倉市生涯学習センターの管理運営の見直しの取組状況について」の報告がありました。
議案の出し直しを否定
この間、各議員のもとには、多くの市民団体から、生涯学習センター条例の改正によって今年10月から変更となる開館時間・利用区分を条例改正前に戻すことを求める『要望書』が寄せられていますが、2月議会(2月9日~3月18日)には生涯学習センターの管理運営に関する市長提出議案※はありません(※ 令和4年度一般会計予算案に事業費が計上されているのみ。該当ページを末尾に掲載)。
常任委員会前日に行われた「新年度予算に対する代表質問」の中で議案の出し直しを求めた会派に対し、教育長は「出し直しはない」と明言しました。
教育委員会側が、市民・利用者向け説明会(1月15日)や議会での答弁で「改正条例が議決されたことは重いと認識し…」と述べているのは責任転嫁というものです。
聞きたかったのは、「13対12の僅差の可決であったことを重く受けとめ…」あるいは「議決後に利用団体等から反対の声が多く出ていることを重く受けとめ…」という発言でした。
常任委員会で報告されたのは
前置きが長くなりましたが、常任委員会で報告されたのは、次の3本でした。
●市民・利用者向け説明会で行った説明内容
▽集会室の利用区分を3時間から2時間にし、合わせて2区分連続で予約できるようにして全体としてコマ数を増やしたことなどにより利用予約が取りやすくなる
▽指定管理者制度を導入することで社会教育事業の量的拡大・質的向上がはかれ、それは市民にとってのメリットでもある……など
●1月に実施した利用者アンケートの結果(配布数3,510件 回収数732件)
①「利用時間の前後の入替え時間で15分ずつを活動準備・後片付けに活用できるした場合、必要となる枠数は1枠(2時間+前後)か2枠(4時間+前後)か」という設問への回答
➡1枠が37%、2枠が43%、無回答が20%
②「集会室、ホールの利用区分に関する意見・要望を知らせてください」という設問への回答
➡賛成1.2%、反対10.9%、意見記載6.4%、無回答81.5%
③指定管理者募集に当たって作成する「仕様書」に加えた方がよいと考える内容についての設問への回答
➡指定管理者に特に期待するものとして挙がった上位の項目は、
「申込や登録等の簡便化」28%、「備品の充実」20%、「施設の管理」14%、「持続可能な社会教育の構築」10%
(※アンケートは計21問あり、上記①~③は筆者の抜粋)
●仕様書に記載する項目案
利用者アンケートで寄せられた意見を仕様書に反映し、指定管理者選定委員会に示すという説明
アンケートの意見集約に疑問
教育福祉常任委員会の委員ではないため質問はしませんでしたが、上記の利用者アンケートの総括には納得できませんでした。
そもそもこのアンケートの設問設定は、条例改正による管理運営の変更点について賛否を問うというよりは、管理運営の変更点について説明する意図が前面に出たものでした。
さらに回答結果の総括も、①について「2枠を必要とする利用者は多数派ではない」、②について「無回答が80%を超え、反対と明記した回答はごくわずかで、記載された意見は様々だった」というのは、かなり強引です。
市民・利用者向け説明会では、参加者から噴出した批判に対し、「条例改正が決まった後の説明会となったが、説明会と利用者アンケートで出された意見を仕様書の記載内容に反映する」と繰り返し答えていました。参加者の中に、「これだけ利用区分の変更について反対の声が出たのだから、『仕様書』に少しは反映されるのかもしれない」と思った方がいらしたなら、仕様書への反映が「指定管理者に期待する要件」という取りまとめになったことを不本意に感じられることでしょう。
もう一つの報告~社会教育の人員体制
教育委員会は、生涯学習センターの管理運営に指定管理者制度を導入することで、社会教育を支える人員体制が厚くなると説明しています。指定管理者公募に際しては、社会教育主事の有資格者が配置できることを要件の一つに挙げることになります。
生涯学習センターの管理運営を指定管理者に担わせ、生涯学習課は今後どのような社会教育に力を注ぐのかというと、「地域に出ていく社会教育」なのだそうです。
具体的な取組みを挙げれば、2022年度に市内2ブロックでスタートするコミュニティ・スクールです。生涯学習課は、コミュニティ・スクールの「地域学校協働活動」の側面を担っていくことになります。
この方向性についてはかねてから聞いていたので、2月18日に行った代表質問ではコミュニティ・スクールについてかなり詳しく質問しました。
全小学校に展開している「放課後かまくらっ子」のプログラムをボランティアとして担うことを、「青少年の地域の居場所」と位置付けている鎌倉市は、今度は地域住民が地元の学校の応援団としてボランティア活動を行うことを「多世代の地域の居場所、社会教育の実践の場」と位置付けるのでしょうか?!
社会教育(学習者の視点で捉えれば「生涯学習」)についてのコンセンサスをはかっていかなければならないと思います。