国際的な人権尊重の水準を満たさない入管難民法改正案
入管難民法改正案をこのまま通してはいけない!
今国会に提出されている入管難民法改正案は、一昨年に世論の反発と与野党の修正協議の決裂で廃案になった法案を踏襲し、難民認定の申請中であっても、3回目の申請以降は送還を可能にするものです。難民条約などの国際人権法が掲げてるノン・ルフールマン原則(迫害を受けるおそれがある国への追放や送還を禁止)に反しています。
自民・公明・立憲・維新の4党は4月21日から法案の修正協議を始めています。
維新の修正案は、難民認定が適切に行われるように担当職員研修や申請者からの事情聴取での配慮などを追加しようとするもので、出入国管理部門が難民認定の判断をするという現行制度の大きな問題点の解消には全くなりません。
一方、立憲は、より抜本的な見直しが必要であるとして、難民認定審査を行う第三者機関の設置や入管施設への収容期間の上限設定などの対案を示しているとのことです。
新聞報道によれば、次回協議は明日4月24日にも行われ、25日の法務委員会は(採決は行わず)質疑のみとなるようです。
国際人権法と日本の現状
昨日4月22日、川崎市で「外国人人権法連絡会総会・記念シンポジウム」があり、明治学院大学の阿部浩己教授が『国際人権法のダイナミズムと日本の人権状況』をテーマに特別講演をされました。
日本の難民認定率の他の先進国とは比べ物にならない低さ、「在留資格のない外国人の人権は保障しなくてもよい」としているようにしか見えない入管施策は、国際人権法が1990年代頃を潮目として「自国民中心」から「人間中心(すべての者の人権を保障)」の法体系(国際社会共通のルール)へと深化してきた流れに逆らってきたことに他なりません。
阿部先生のお話の中で、植民地支配の責任に正面から向き合わないできた歴史と、人種差別や排外主義を克服できない現状が深く結びついているという指摘、日本が突きつけられている制度的課題として包括的な差別禁止法の制定や国から独立した人権機関の設置があるという指摘は、特に印象的でした。
集会の最後には、主催者グループから「入管難民法改正案は、廃案に!」というアピールがありました。修正ではなく廃案にさせたい。