介護保険は がけっぷち!

介護保険改定についての審議会答申は年内?
11月21日夕方、衆議院第二会館で、院内集会【このままでは保険”詐欺“になる~介護保険は崖っぷち】(主催 ケア社会をつくる会)が開催されたので、オンラインで参加しました。300数十名という多数の参加者があり、国会議員も入れ替わり立ち代わりで会場に来ていました。
2024年介護保険改定にかかる社会保障審議会の答申は年内にも出そうですが、内容は自己負担が2割となる対象者の大幅拡大 要介護1・2の介護保険から総合事業への移行ケアプラン作成の有料化など「このままでは保険”詐欺“になる改悪案」。これを「何とか押し戻そう!」というのがこの日の院内集会でした。

今回と同じ主催・共催団体が「史上最悪の介護保険改定を許さない !!」と題して昨秋行った連続アクション・院内集会の記録は岩波ブックレットに。

沢山の怒りの声が次々と
介護の現場の担い手や研究者ら20人超の報告(発言)は、様々な角度から現行制度の問題を提示したものでした。その一部を紹介します。
生活と介護の価値を認めない日本社会のあり様が問題の根底にある。
政府が介護保険制度をいじる方向性は、大手事業者には有利に働き、利用者のニーズや地域性に密着した小規模事業者には不利に働くものとなっている。
施設がロボットやICT機器を導入することによって人員の配置基準を緩和することは、介護人材確保の困難解消にも職員負担の軽減にもならず、介護の質の維持を危うくする。
自己負担2割の対象者の拡大は、サービスの利用控えを招き「保険あって介護なし」の事態を引き起こす。「一定以上の所得がある人」の範囲については、もっと丁寧な議論を続けるように求めていかなくてはならない。

2012年度から「生活援助」の時間区分が短縮された。訪問が細切れになり行き先が増えると、移動や待機の時間が増え、賃金が支払われない時間が増える。

集会声明(6項目の要望)
「少なくとも今の介護のある暮らしを守らなくてはならない」として、集会の最後に呼びかけ人の樋口恵子さんが発表した声明は、政府に対する次の6項目の要望です。
1.2割負担の対象拡大など利用者負担を増やさないこと
2.老健施設などの多床室の室料は取らないこと
3.要介護1と2の訪問介護と通所介護の給付を守ること
4.ケアマネジメントの10割給付(利用者負担なし)を継続すること
5.介護に従事する職員する職員の待遇を今すぐ改善すること
6.介護保険の国負担割合を増やすこと
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<院内集会を通して感じたこと>
2000年にスタートした介護保険はこれまでに制度改定を重ねてきましたが、今回予想される改定はこれまでにない厳しいものです。
これを何とかストップさせるには、介護保険の危機に社会全体で注目する必要があります。
鎌倉市は今年度ケアラー支援条例の策定を進めています。
ケアの必要な家族や近いしい人を無償でケアする人たち(ケアラー)に対する支援の必要性に気づくことは、私たちの社会において「介護の社会化」が不十分であることに気づくことでもあります。
一般産業に比べて低い賃金と厳しい労働環境から介護人材の人手不足が深刻化(※)していることから「介護崩壊」は既に始まっています。
だから家族介護を前提とした時代に戻ってしまってよいのか、ということが鋭く問われています。
(※施設の介護職員の有効求人倍率は3.79倍。ホームヘルパーの人手不足はさらに深刻で有効求人倍率は15.53倍)