過去から学ぶ~歴史的公文書
「検証・過去の震災記録」展
横浜市旭区の運転免許試験場の近くに県の公文書館があります。先週末の6日、公文書館を訪ね、開催中(8月17日まで)の企画展示「検証・過去の震災記録」を見てきました。今年が関東大震災から90年目に当たり、また東日本大震災を経て、災害対策において過去の地震・震災の記録をたどることの意義が再認識されていることから企画されたものです。
15世紀の明応地震から1930年の北伊豆地震に至る90点に及ぶ展示物のうち、数が多かったのはやはり関東大震災に関するもので、橘樹、鎌倉、三浦、津久井の郡役所ごとにパネルと原資料(公文書館所蔵の歴史的公文書)が展示されていました。鎌倉郡役所の関連の原資料では、「鎌倉郡救護事業状況報告書」、「鎌倉保育園の毛布配給願い」などがありました。
公文書館の目的
まず企画展示について紹介しましたが、この公文書館のそもそもの機能・目的は、
◇県の関係機関が作成・収受し保存期間が満了した公文書等は、公安委員会等一部を除いて全て収集し選別を行い、歴史的価値の高いものを保存、記録遺産として後世に伝えるとともに、広く県民に公開する
◇県内に現存する古文書を収集・保存し、記録遺産として後世に伝えるとともに、広く県民に公開する―というものです。
また、他の自治体の公文書館では行われていない中間保管庫としての機能も有し、本庁機関作成の10年・30年保存文書は、5年経過時から保存期間満了まで公文書館の中間保管庫で保存しています。建物は、地下1階・地上4階建て、収容能力は約105万冊・点とのことです。
鎌倉市では
市議会6月定例会では、公文書の管理、保存、利活用について質問し、現用文書と歴史的公文書の両方について定めた公文書管理条例制定の必要性を訴えました。
鎌倉市が県の公文書館のような施設を新たに建設することは財政的に困難です。しかし、保存に努め散逸を防がなくてはならない歴史的公文書は多数あり、当然ながらその数は年を経るごとに増えていきます。
市では目下歴史的公文書の「選別基準」を検討中で、間もなく統一した選別基準がまとまる予定です。鎌倉市の実情に合った選別基準が作られ、適切な文書保存が進められることを期待します。