スーパーシティ区域指定の調査会が開催されていた!
国は昨年12月~今年4月に国家戦略特区スーパーシティの提案を公募しました。
これに応募した鎌倉市を含む31の地方公共団体に対し、国家戦略特区ワーキング・グループ(WG)が5月にヒアリングを行いました。
その後、専門家による調査会を開いて提案の選定作業を行い、今夏をめどに5件程度に絞り込み、スーパーシティ構想を実施する自治体を決定する方針とされています。
調査会はなかなか開かれず、折に触れて国家戦略特区のホームページをのぞいていたところ、第1回の「区域指定に関する専門調査会」(会長 坂本哲志 内閣府特命担当大臣)が8月6日(金)に開催されていたことがわかりました。
第1回では、地方公共団体から提出されているスーパーシティの提案やヒアリング結果について意見交換が行われたようです。
スーパーシティ型国家戦略特別区域の区域指定に関する専門調査会 (chisou.go.jp)
第1回 スーパーシティ型国家戦略特別区域の区域指定に関する専門調査会 配布資料 (chisou.go.jp)
WGは規制改革を重視
配付資料の中で、地方公共団体の提案概要が「先端的サービス」、「主な規制改革」項目と共に一覧表になっているのが目をひきます(資料2)。
また、WGによるヒアリングの講評(資料3)は、
「そもそも国家戦略特区の目的は、岩盤規制改革の実現である。スーパーシティ は、(中略) 最新の技術を用いる必要があり、 広範な岩盤規制改革が必要であり、その実現には住民合意が必要である。
したがって、以下の要素を欠く提案は、制度趣旨と外れ、指定対象になることは考えられない。
1)岩盤規制改革、かつ、
2)とりわけ住民合意を経ることで実現が期待できる、大胆な規制改革 」
という強い口調のものです。
WGは、「制度の趣旨に立ち返って提案内容が見直されるよう、第2次ヒアリングを行う中で助言を行う」と述べるとともに、「応募団体が掲げる規制改革の項目数が多くなっているが、精査されていない」という苦言も呈しています。
講評をまとめたWG座長代理の人は大阪府・市の特別顧問で、筋金入りの規制撤廃論者です。
だからここまで言うのか、と納得する一方、「そんなにわかりやすい(意図的過ぎる)人選でよいのか!」という疑問もわいてきます。
鎌倉市の提案はどうなのか
配付資料2の中で、鎌倉市の提案における「主な規制改革」は次のように整理されて示されています。
①観光車両による道路混雑の対策として、市内中心部に流入する車両に課金するロードプライシングを導入する(新制度及び道路法)
②人と自然とが共生する市街地整備のため、土地区画整理事業における道路、公園等の基準を緩和する等(土地区画整理法等)
③買物・医療機関へのアクセス不便の解消のため、ドローンによる配送整備網を 構築する(航空法)
スーパーシティを特徴づけるのは、規制改革という名の規制緩和。
募集要項では、「広範かつ大胆な規制・制度改革の提案」と複数の規制緩和を盛り込むよう求めているので、提案自治体は規制緩和を折り込むように必死になって考えた(と思われる)訳ですが、講評では「提案項目数は多いが、精査されていない」とバッサリ。
スーパーシティというのは、やはり無理筋のまちづくりなのです。
そんな中で、鎌倉市の上記提案は、もしかすると区域指定の判断をくだす専門家の人たちに評価されるのではないか…という不安を呼び起こす(≒制度の趣旨を結構理解した)ものです。
しかし、はっきり言います。スーパーシティに区域指定されませんように!