ウクライナからの避難者支援 ~内なる国際化の試金石

2月議会の会派代表質問(2月18日)では、国際交流(文化交流)・都市間交流中心の鎌倉市の「国際」事業を、不利な労働条件や厳しい環境で働くことを余儀なくされたり、困窮や安心して暮らせない事情を抱えたりした外国人を地域で共に暮らす隣人として支える「内なる国際化」施策にも目を向けたものにしていくべきだと訴えました。

その数日後にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まり、2か月が経った今、500万人超のウクライナの人々が国外に逃れ、日本には680人超の人が避難して来ています。

政府等の「避難民」支援策
 政府は、ウクライナからの避難してきた人たちに対し、入国時に付与した90日間の短期滞在の在留資格を、本人が希望すれば就労可能で1年間滞在できる「特定活動」という在留資格に切替えることを認めています。
日本に親族や知人がいない場合()は、一時滞在するホテルと食事を提供、ホテルを出る際は生活用品をそろえる一時金として16万円(15歳以下は8万円)を支給し、その後の生活費としては、1日2400円(11歳以下は半額)を支給するとのことです。金融機関での口座開設に使える身分証も発行します。
在日ウクライナ人の家族・知人の避難者に対しては、日本財団が対象者を1000人程度と想定し、1人年間100万円を3年間支給する支援策を公表しています。)

鎌倉市には既にウクライナからの避難者が
鎌倉市ではウクライナからの避難者4人が暮らし始めています。2人は、鎌倉市民が受入先となって4月5日に政府専用機で避難することができた親子で、市内の賃貸住宅で生活しています。
また、16日からは市内在住のウクライナ出身女性が呼び寄せた両親が、市内の「アルペなんみんセンター」で暮らし始めています。

「特定活動」の1年間の在留資格が得られれば、住民登録ができ、健康保険にも加入できます。
政府や日本財団による資金援助はあるものの、言葉の通じない未知の土地で生活基盤を作っていくための、住居確保、日本語習得、就労・就学、暮らしの情報の提供などに関する様々な具体的支援は、自治体と市民(民間)レベルで担っていくことになります。

横浜市は、4月15日に総合的な支援パッケージを打ち出しました(末尾参照)。
横須賀市は、19日に市内への避難者への1人あたり10万円支給、家具付き市営住宅4戸の用意などの支援策を発表しました(19日時点では避難者はいません)。
藤沢市も、22日に市社協、商工会議所、医師会などとも連携した生活支援パッケージ(生活準備金1人10万円、住居の1年間無償提供、生活全般の相談対応など)を発表しています。
鎌倉市は「具体的な支援に向けて庁内横断の体制を整え、国や県と協力しながら必要な支援を講じる」(4月23日神奈川新聞)とのことですが、まだ具体的な支援策の公表には至っていません。
既に避難者がいる自治体としてスピード感を持って取り組むこと、また藤沢市のように関係諸団体との連携をはかることを要望します。

【追記】4月25日、ウクライナから避難してこられたご夫婦が鎌倉市役所を訪ね、松尾市長に面会しました。市は同日、ウクライナからの避難者に対して支援のための一時金10万円を支給すると公表しました。
本稿は、この公表以前に掲載したものです(一時金支給の方針は聞いていましたが、なかなか公表されないので促す意味もありました。)

(横浜市ホームページより)