複雑化・複合化した支援ニーズに応える体制づくりは…?(6月議会 振り返り①)
6月8日から始まった鎌倉市議会6月定例会も、28日の最終本会議を残すのみとなりました。これまでの動きを複数回に分けて振り返ります。
まずは、6月9日に行った一般質問についてです。
地域共生社会の実現を掲げた福祉の現在
2019年12月、厚労省の有識者会議(地域共生社会推進検討会)の取りまとめは、地域住民の複合化・複雑化した支援ニーズに対応する市町村における包括的な支援体制の構築を推進するため、「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」の3つの支援を一体的に行う市町村の新たな事業を創設すべき―という提言を行いました。
これを受けた法改正により、2021年度より「重層的支援体制整備事業」が制度化されました。
鎌倉市は同年11月から移行準備事業を始めています。具体的には、多機関協働事業と参加支援事業の2つの事業を「鎌倉市相談支援包括化推進業務」として、鎌倉市社会福祉協議会に委託し、市社協が「Liberoかまくら」の名称で実施しています。
今年4月からは本格実施という位置づけになっています。
例えば、ケアマネージャーやヘルパーさんが高齢者のお宅を訪問した際、引きこもり状態のご家族や、家事や家族の世話などが大きな負担となっているヤングケアラーの存在に気づくことがあります。そうした複合化した支援ニーズに応えていくため、地域包括支援センター・障がい者基幹相談支援センター・生活困窮者自立相談支援事業所などの支援関係機関が、それぞれで対象としてきた高齢者、障害者、生活困窮者などの分野に限定せずに相談を受け付ける仕組みが始まり、また、複雑化・複合化した事案については他機関協働事業者(Liberoかまくら)につなぐ体制づくりが図られています。
分野をまたいだ包括的な支援体制の枠組みが示されたことは前進とは言え、連携関係が機能するようにしていくのは今後の課題です。
この事業は地域共生課が主管課ですが、庁内の福祉・地域支援の関係課との連携を強めて進めてほしいと思います。
支所の地域支援機能の強化を
腰越、深沢、大船、玉縄の行政センターには、支所・学習センター・図書館が併設され、行政サービスや地域コミュニティの拠点としての役割を担っています。
支所の役割には、行政窓口・地域支援・建物の維持管理があり、行政窓口の業務としては、届け出・証明書交付・収納の3業務を担っていましたが、収納業務については、一部を除き2020年度末をもって取扱いを終了ました。
その流れの中で、支所の役割における地域支援の比重は大きくなったと言えます。
現状では、自治町内会・地区社会福祉協議会・民生委員児童委員協議会の活動に会議室等を貸出すなどの協力、避難所運営マニュアルの作成支援、地域行事の運営支援などを行っていますが、支所によって使えるスペースも異なり、一様ではありません。
市は、市役所1階に「くらしと福祉の相談室」を開設し、2021年5月にはこれと隣り合わせの場所に市社協の地域包括支援センターが移転しました。
各支所においても同様の相談支援機能を展開させようという構想がありました。しかし、今年の2月議会に示された「重点事業の工程変更」では、「各支所での地域住民の相談体制拡充」が「各地域での相談機能強化」という表現に変わりました。来所のための場を整備することよりも、支援関係機関の方で地域に出ていくという方向性を重視したとのことです。
そうではあっても、地域の団体の活動支援や地域の困りごとを所管課に繋げていくことなどは重要な役割です。支所が地域コミュニティの拠点としての機能を強化していくことを求めました。