まちづくり条例にこめた理念が生かされるように
2017年、源頼朝が最初に幕府を置いた「大倉幕府」の跡と目されている雪ノ下3丁目の民有地約2千平方メートルを大手デベロッパーが取得し、地上4階・地下1階のマンション建設計画が浮上しました。この間、別の事業者への土地の転売もあり、開発計画の帰趨が注目されましたが、先日近くを通りかかり、新たにこの土地を取得した個人が戸建て住宅を建築されることを知りました。既に整地工事(?)が進んでいます。詳細はわかりませんが、願ってもない展開と言ってもよさそうです。
広報かまくら2018年1月号に掲載の「まちづくり条例に基づく開発事業の届出状況」を見ると、中規模開発事業の一番上にこの雪ノ下3丁目の土地利用についての届出(当初のマンション計画)があります。その頃は、広報かまくらの各月の1日号に、開発事業の届出状況が載っていたのですが、2020年度から掲載されなくなってしまいました。
市のホームページへの「届出された中規模開発事業」の掲載は…
10日ほど前、ある中規模開発事業について大町の住民の方たちから相談を受けました。昨年夏、市内事業者が、公道から私道で入る500㎡未満の土地を2区画にして戸建て2棟を建てる土地利用方針届出書を市に提出しました。ところが、2カ月半後に戸建て1棟と共同住宅1棟への変更、またその3か月後に今度は共同住宅2棟への変更が届出られました。
まちづくり条例では届出後に事業区域内に土地利用の概要を示した標識(看板)を7日間掲示することになっています。しかし、この件では計画変更後も従前の戸建て計画の標識がずっと立っていました。
条例所定の手続きが最終的に行われたとしても、条例が「土地利用の調整」について定める中で図ろうとしている「周辺住民への周知」が、実態としてなされていなかったことは残念です。
この件について聞いた際、先ず市のホームページの「届出された中規模開発事業」を調べました。これまでにも、開発事業について問い合わせ等をいただくとすぐに見るようにしていたからです。驚いたのは掲載されている届出事業の件数がとても少なくなっていることです(広報かまくら2018年1月号掲載「届出状況」と比較すれば明らか)。
鎌倉市/R4中規模開発事業 (city.kamakura.kanagawa.jp)
所管課に確認したところ、以前は標識の掲示期間の終了をもって中規模開発事業の手続きが終了しても開発事業が継続しているしばらくの間は載せていたが、現在は手続き終了後ただちに非掲載にしているとのこと。
せっかく1995年にまちづくり条例を作って、内容の見直しを重ねつつ運用してきているのですから、市民への情報提供は後退させるべきではありません。中規模開発事業の手続き期間終了後も法人情報に係る部分は適宜省略しつつも、従前のような掲載に戻すことが望まれます。