一般質問で公共施設再編計画を取上げました(2)―長寿命化はcase-by-case

施設の複合化・統合化を進めず、現存施設の長寿命化(補修・改修等を行って使用期間を延ばすこと)を、学校施設整備以外でも広く採用すべきだという意見が一部であります。

これに対し、公共施設再編計画についての質問(9月7日)の最後で次のような考えを述べました。
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《一般質問 抜粋》
「今ある施設は、まだまだ使える。補修をしながら大事に使い続けるのがSDGsだ」と言う声があります。

限界になるまで使い続けて適切な更新ができる?
聞こえは良いですが、ボロボロになるまで使い続けて、もう限界だという時に建替えようとしても、鎌倉市の場合、現地で建替えられるほど敷地に余裕がある公共施設はほとんどなく、敷地の外に建て替え時の仮庁舎・仮施設を確保しようにも物件の確保は困難、運よく仮設のための物件があったとしても借りるのに膨大な経費がかかりますし、仮施設を作って本体の建替え期間が終わると壊す場合は、それこそSDGsの逆を行きます。

既に老朽化した施設を限界まで使い続けるのは、支出の先送りであって、先送りしている間の補修経費もかさみ、結局のところ節約にも支出の平準化にもならない恐れがあります。何より施設の安全管理が十分でない状態が続くのが問題です。

複合化・集約化して新しいものに作りかえるのがとにかく良いのだ、と言っているわけではなく、現存施設の長寿命化も施設によっては選択肢です。
しかし、できるだけ多くの施設を長寿命化すべきだという発想は、「違う」と思います。

長寿命化できる期間とコストを的確に見ない長寿命化礼賛はありえない
2015年度末に公表の「本庁舎機能更新に係る基礎調査」において、本庁舎の整備パターンごとのコストの算出で、長寿命化には建替えと比較したコスト面でのメリットは見出せないという結論づけられましたが、これは他の施設においてもありうることです。
より本質的なのは、既に老朽化している建物に長寿命化のための工事をして、あと何年もたせるのが適当なのかの判断の問題であり、長寿命化にかかる経費とそれによる建物の延命期間のかねあいの問題です。

7月開催の本庁舎等整備委員会では、建築系の専門家委員が、新しく建物を建てる時も、耐震改修を行う時も、その建物をその後何年使うのか考えるのが基本である、投入するお金もそれによって当然変わってくるということをおしゃっていました。
初めから50年を超えては使い続けられるように作られていない公共施設がある可能性も含めて、この委員のご指摘は、公共施設再編計画全体を俯瞰する時に必要な視点のひとつだと思います。

【総務省が紹介する長寿命化の事例:福島県の須賀川市民文化センター】
約40年を経過した施設の耐震補強・特定天井の改修・内外装や設備機器等の劣化改修を行い、長寿命化を図った。今後30年間の利活用を目指した耐震補強と施設改修の費用は約25億円。
(同センターの敷地は、鎌倉市役所本庁舎の敷地よりも大きい17,726㎡。この事例のように鎌倉生涯学習センター1,661㎡、中央図書館1,354㎡の10倍以上の敷地面積であれば、改修工事もしやすいが…。)

 

 

 

 

 

 

 

 

須賀川市民文化センター(鎌倉市では考えられない駐車場の広さ)