一般質問で公共施設再編計画を取上げました(1)ー施設と機能の分離

9月7日(木)の本会議で一般質問を行い、公共施設再編計画について久しぶりに取り上げました。当日の中継録画がまだ市議会のホームページにアップされておらず、録画を見て答弁を確認することができないので、まとめて意見を述べた箇所2か所をピックアップして紹介します。
1つは、同計画の取組方針に上がっている、「施設と機能の分離」「公共施設にこだわらないサービスの提供」についてです。

公共施設再編計画を特集した「広報かまくら」 2015年5月1日号

《一般質問 抜粋》
先ほど「施設と機能の分離や、公設公営からの発想転換で公共施設にこだわらない公共サービスの提供」という方針については考え方としてはわかるが、「程度の問題」だと述べました。

施設と機能の分離
施設と機能の分離というのは、例えば子育て関連施設・高齢者福祉施設・社会教育関連施設で「貸室、会議室」スペースの提供ということで括れる類似サービスを提供している場合、元々の施設の設置目的によって本来は異なるサービスの提供目的や対象者よりも利用実態の方に着目して、多世代が多目的に利用できる多機能施設に転換・複合化して「貸室、会議室」スペースの提供という機能を維持すればよい、という考え方です。

これについては2013年に公共施設再編計画基本方針が示された頃、共産党の赤松議員が、「施設と機能の分離は、公共施設とは何ぞやという原点に触れる問題であり、公共施設の量と質にかかわる問題なのだ」と強く批判されています。
私はこの指摘は理念的な部分よりも、「市民の利用実態と公共施設の質と量」という関係性で捉えて、今日においても念頭に置かなくてはならないと思っております。

今後、深沢に新庁舎を整備した際の話ですが、土日などの休庁日には行政の会議室を集会室として市民が利用できるようにする。藤沢市役所でも行われている貸出しですが、これなどは集会室機能の提供に幅を持たせる例としてよいと思います。

一方、これまでに度々例に出してきた武蔵野市の武蔵野プレイスは、生涯学習支援機能だけでも、「仲間と一緒に学びたい人には各種講座や会議室、一人で学びたい人には図書館や3階スタディコーナーといった学習室や4階ワーキングデスクといった書斎的空間と、人それぞれの生涯学習スタイルに合った環境をご用意しています」とうたっています。
多目的な貸室スペースがあれば何にでも使えます、ということではありません。

また、質と量の「量」の方で言えば、生涯学習センターの集会室の予約が夜間を除いて取りづらいという実態があり、昨年利用時間枠の変更を行いました。けれども、予約の取りづらさは施設数が利用ニーズに対して十分でないということが根本にあります。
類似サービスを提供する複数の施設を集約化すれば、サービス提供スペースの床面積を節約できると考える時に、元々不足気味だったということを忘れてはならないと思います。

民間施設の活用?
また、「施設と機能の分離」には民間施設を利用して公共サービスを提供するというパターンもあります。それがまさに「公設公営からの発想転換で公共施設にこだわらない公共サービスの提供」ということです。

大和市や藤沢市は民間の大型の商業施設の中に市立図書館を設置しています。鎌倉市は大船ルミネの中に市民サービスコーナーを開設していますが、両市のように大きな面積を借りて活用できる民間施設はほとんどありません。

PPP/PFI手法の活用?
市有地を使って市の施設を整備するにあたってPPP/PFI手法を活用するにしても整備資金の調達・支出の平準化の手法としてはあるのかもしれませんが、高い建物を建てられる区域が市内で限定されているわけですから高層の建物を整備してその床を利用して民間が収益活動や自らの事業を展開するという展開が大規模に行われることは考えられない訳です。
活用できるPPP/PFI手法は限られているという前提で、「公共施設にこだわらない公共サービスの提供」というものを考えた方がよいと思います(民間が持つ施設を利用して民間に委託する形で公共サービスを提供してもらうということなら、もはや公共施設再編計画に位置づける意味がないので、ここでは除外。)

公共施設再編計画を実際に進める上では、鎌倉の固有の事情に合わせた手法の採用が必要であって、「施設と機能の分離」も「公共施設にこだわらない公共サービスの提供」も、どの程度を落としどころにするかを慎重に見ていくべきでしょう。