9月議会振り返り➁~ 生涯学習センター条例改正、フェアトレードタウン決議

9月定例会では、市長提出の21議案(うち7議案は令和5年度決算の認定)、議員提出の3議案、陳情7件について採決が行われました。
その中から、鎌倉市生涯学習センター条例の一部改正議案(議案33号)と議員提出議案の「フェアトレードの取組みを広げる決議」について報告します。

利用時間枠を変更する生涯学習センター条例の一部改正
今回の条例改正により、2022年10月の指定管理者制度導入時から続けてきている集会室の利用時間枠を2025年度から次のように変更します(一番上が変更案)。

≪ 経緯 ≫
生涯学習センターに指定管理者制度を導入し、集会室の利用を1日3枠から2時間刻みの5枠にするなどの利用区分の変更を行う生涯学習センター条例改正案が、2021年12月議会で可決しました(神奈川ネットは反対)。この変更に「使いづらい利用区分になる」と反対する利用者の声を受けて、2022年3月18日の2月議会最終本会議で従前の利用区分に戻す条例案が議員提案され、僅差で可決しました。

しかし、市長は従来の利用区分に戻す条例案の議決に異議があるとして、1週間後に臨時議会を招集して再議に付しました。再議では3分の2以上の賛成が必要であるため議員提案の条例案は否決となり、前年12月の市長提出議案の時間区分変更(上記の時間区分表の中段)が2022年10月以降適用されることになりました。

≪利用団体から意見を聴いた結果の利用時間枠変更≫
市長が再議に付したのは大変強引な進め方で禍根を残すものとなりましたが、3月18日の最終本会議では、従前の利用区分に戻す議員提出議案とは別に、「付帯決議」議案も可決しています。利用区分を変更した施設運営が行われるようになった場合は、その運用から半年後に利用者・利用団体等に利用実態や利用区分の使いやすさ、予約の取りやすさ等についてのアンケート調査を行い、利用区分の再度の変更が必要であると判断された場合は変更を行うことを求める付帯決議です。

市は、2023年2月から5月にかけて利用団体等にアンケート調査を行い、2024年2月には利用者懇談会を開催し、利用時間枠に関する利用者のニーズや意向をすくい上げました。その結果、集会室の利用でニーズが高い10時から12時までを一続きの利用枠とし、使いづらいという声が多かった11時30分から13時30分の枠を見直す方向で取りまとめられたのが今回の条例改正です。その意味で、2021年12月議会以来の懸案に対し、利用者の意見の反映に努め、万全とはいえないまでも一定の解決策を示したものと捉えられます。

≪課題は?≫
一方、2022年10月以降設けられていた入れ替え時間はなくなります。2時間枠を5枠設定している点で条例改正の前後で変わっていないのは、「利用枠数の確保=予約が取りにくい状況の改善」であると同時に「利用料収入の確保」であることは否めません。入れ替えをめぐって利用者間でトラブルが生じたりしないように、注意喚起や細やかなサポートが必要となるでしょう。

今実際に利用されている方たちのニーズに適うようにしたことは歓迎しますが、新規の利用者を増やす、若年層の利用を増やすという課題にも向き合い続ける必要があります。床面積の制約はありますが、予約なしで少人数で集える場としてロビーが一層活用されることにも期待します。そして、今回手を付けなかったホールの利用時間枠も含め、今後とも利用者ニーズの把握に努める姿勢を続けてほしいと思います。

 

フェアトレードタウンとは?
フェアトレード(直訳すると「公平・公正な貿易」)は、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」です。
このフェアトレードを行政、市民、企業団体などが一体となって推進するフェアトレードタウン運動は、2000年にイギリスの小さな町で始まり、今では世界で2,000以上の自治体に広がっています。国内では熊本市、名古屋市、逗子市など6市がフェアトレードタウンに認定されています。

鎌倉市は、総合計画第4期基本計画(2020~25年度)で『エシカル消費推進事業』を重点事業に位置づけており、後述の認定基準を満たしてフェアトレードタウンに認定されることを目指しています。
※エシカル(ethical倫理的な)消費…地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域環境に配慮した消費行動

フェアトレードタウン認定に向けて市議会も支持の決議
フェアトレードタウンと認定されるには、次の6つの基準を満たさなくてはなりません。
基準1:推進組織の設立と支持層の拡大
基準2:運動の展開と市民の啓発
基準3:地域社会への浸透
基準4:地域活性化への貢献
基準5:地域の店(商業施設)によるフェアトレード産品の幅広い提供
基準6:自治体によるフェアトレードの支持と普及

基準6は ①地元議会がフェアトレードを支持する旨の決議を行うとともに、➁首長がフェアトレードを支持する旨を公式に表明し、フェアトレードの普及を図る―というものです。
そこで、鎌倉市議会として「フェアトレードの取組みを広げる決議」を行ったというわけです。決議文案は消費生活を所管する総務常任委員会が取りまとめ、最終本会議で総員賛成で可決とあいなりました。

なお、基準1については昨年5月に市民、事業者等からなる推進組織「鎌倉エシカルラボ」が発足しています。
基準5に関しては、エシカル消費を実践する際の目印となる「認証ラベル」を取得した商品を販売している市内のお店を紹介するマップが鎌倉市のホームページに掲載されています(マップ掲載事業者を引き続き募集中)。鎌倉市/エシカル事業者マップ (city.kamakura.kanagawa.jp)