北鎌倉 台峯緑地の保全―実施設計案に意見続出
2017年の開園を目指し今年度中に実施設計確定
2017年に風致公園としての開園を目指す「(仮称)山崎・台峯緑地」。2007年に確定した基本計画、基本設計に基づいて、昨年度から引き続き実施設計(対象範囲36.7ha)の策定中です。
7月25日、鎌倉市役所分庁舎で開かれた「実施設計(案)」の説明会に参加しました(実施設計(案)の一段階前の「実施設計(素案)」の説明会については、5月18日付の記事で既報)。素案への市民意見募集が7月2日まで行なわれたのを踏まえた今回の実施設計(案)説明会、ということでした。参加者は17,8名。後半の質疑は、終了予定時間を超えても質問が尽きませんでした。
ため池の堤をめぐる議論
85ページに及ぶ実施設計(案)の末尾20ページは、素案に対する市民意見と市の対応方針の一覧で、市民意見を整理、検討したあとが読み取れます。
一方、実施設計(案)の本文の方には素案では示されていなかった様々な事項が盛り込まれています。説明会で焦点になったのは、ため池の堤の工事についてでした。地震発生時に堤が決壊することがないよう、強固な「堤体」にする必要がある、という市の説明に対し、昔は今よりもずっと水深があったが堤が切れるなどの心配はしなかった、農業用水としての役割は終わっているのだから貯水量を減らせば堤を過度に強固にする必要はない、堤の工事を最小限にすれば、工事のための仮設道路も最小限にできる、などの厳しい意見が出されました。市の説明では、5月の素案説明会の時点では、堤のボーリング調査の結果が出ておらず、素案と案とで変更が生じたのは調査結果を受けて地震時の安全管理への配慮を行ったため、ということでした。台峯のシンボルとも言えるため池ですが、保全にかかる費用の見積もりは、2007年の基本設計時の1500万円が、実施設計(案)で6000万円に膨らんでいるとのことです。
また、実施設計(案)で、開園後の管理運営体制について、「市と指定管理者、市民等との間の意思決定や連絡調整を行う組織として協議会を設立」するという方針が示されたことには注目しています。
「新しい自然公園の作り方を見せてほしい」という意見も…
参加された市民の多くは、長年台峯に親しみ、保全活動にも関わっている方たちで、公園然とした整備ではなく、なるべく手を加えず、お金もかけず、台峯の自然の昔と現在の状態をよく理解した整備を求めています。一方、国からの補助金を得て、公園として整備していく市には、管理者責任があり、安全対策やバリアフリー化への配慮も求められる立場です。答えは見いだすのは簡単ではありません。実施設計(案)への意見募集(8月15日締切)で寄せられる意見にも、しっかりと耳を傾けて進めていってほしいです。
【実施設計(案)への意見募集】
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/koen/daimine-jishisekei-soan.html