審査に入らない状況が続く ごみ有料化の補正予算

5日の総務委で適法性の確認を求める動議
 
家庭系ごみ有料化をめぐり、補正予算案をごみ有料化関連と「それ以外」に分けて提出するという異例の対応を行なった鎌倉市。有料化関連以外の補正予算案は、731日、総務常任委員会での審査を経て本会議で可決しました。
 
一方、ごみ有料化関連の補正予算案は、審査が予定されていた85日の総務常任委員会で、審査に入りませんでした。委員会の冒頭で、委員の1人から、補正予算が可決されていない状況で有料化の条例が公布された現状は、地方自治法222条に抵触していると言えないか、県および総務省に確認する必要がある、という動議が出されたためです。地方自治法2221項は「新たに予算を伴う条例案については、首長は、必要な予算上の措置が適確に講ぜられる見込が得られるまでの間は、これを議会に提出してはならない」、同2項は「自治体の事務に関する規則その他の規程の制定、改正は、必要な予算上の措置が適確に講ぜられるまでの間は行ってはならない」という旨の規定です。

法にしたがって改正条例案は公布されたが…
 地方自治法16条は、「条例の制定または改廃の議決があった時は、首長は議会から送付を受けた日から20日以内に公布をしなければならない」と定めています。市はこれに従って、公布のリミットである717日に、ごみ有料化の改正条例を公布しました。賛成13、反対11、退席1で条例案が可決した627日の本会議の時点では、有料化関連の補正予算案は宙に浮いていました。6月定例会閉会後の79日の総務常任委員会で補正予算案が審査・可決されれば、条例公布の前に「予算上の措置が適確に講ぜられる」ことになったのですが、そうは行きませんでした。
 それから更に約1ヶ月を経た現在も膠着した状況です。補正予算が成立しないまま8月中旬を過ぎれば、今度は有料化の指定ごみ袋発注スケジュールのリミットが迫り、来年115日からの実施が困難な状況に至ります。

有料化に踏み出してよいのか
 補正予算が可決されていない状況で有料化の条例が公布された現状については、
・ゆえに条例公布は違法で無効、という主張がある一方、
・ゆえに法に抵触した状態を解消するために一刻も早く補正予算を成立させるべきなのだ、という主張もあります。

 本当に論じるべきことは、補正予算を成立させて有料化実施に踏み出して本当によいのか、ということです。市が示している有料化の提案は、あまりにも多くの問題を含んでいます。市民の皆さんには、その点を押さえた上で、法解釈・状況解釈をめぐる綱引きの推移を見まもっていただければと思います。