北鎌倉・藤源治の開発、新局面
藤源治の連鎖開発がついに現実に
北鎌倉の台峰に連なる藤源治。この緑の斜面地が約4,000平米にわたって伐採されたのは、2011年9月のことでした。接道要件から、1度に1,000平米以上の開発はできないところ、それをはるかに超える範囲の伐採が行われ、保全を求める住民からは、連鎖開発への強い懸念が示されました。2012年4月施行の まちづくり条例(旧条例を全部改正)が、小規模連鎖開発を防ぐ規定(先行する開発事業から2年間のうちに引き続いて行う開発事業を一つの開発事業とみなす基準)を設けたものであるのを睨んで、その直前の滑り込みで申請を行った開発事業者の手法と後手に回った市の対応については、市議会でも再三問題にされてきました。
道路ができたことで、「一団の土地ではない」(?!)
そして今年1月31日、当該地の造成された道路を挟んで、2本の「中規模開発事業計画概要」の標識が立ちました。1本には、3区画約470㎡(写真№1)、もう1本には6区画999㎡(同№2)の開発計画が示されています。
事業者は、市が当該地の南端の緑地を買取った後の2013年6月に、1区画の宅地(1宅)とそこに至る道路についての新たな開発の申請を行っており、開発工事は昨年の11月に完了しました。まちづくり条例によれば、その後2年間は所有者を同じくした隣接地の開発はできないはずですが、事業者は「この土地の開発はあくまで旧条例に適合し、2年間待つ必要はない」というスタンス。市による(1宅+道路の)完成検査終了直後の12月には、造成した法面の改変を始め、新たな3区画&6区画の開発事業に取り掛かりました。1宅+道路の工事が完了したのをよいことに、1団の土地を2つに分けて一気に開発しようとしているわけですが、完成済みの1宅852.88㎡の現地(№3)を見ると明らかに2戸の建設が予定されており、合わせて11区画の宅造です。当該地は、2方面での下がり勾配で、既に作った道路の高さに合わせて傾斜を緩やかにするために、新たな区画には最大で約5mの盛土がされます。
急傾斜のこの場所は、以前に土砂崩れがあったそうです。造成の擁壁(№4)がそそり立ち、稜線に家が建ち並んで見えることによる台峯辺縁部の緑の景観破壊、というだけでなく、防災面でも問題のある開発です。
11棟の開発を見込んだ配管が露見
完成検査終了後の造成協力地(1宅に至る道路の隣地)の改変で地面の一部が削り取られたことでわかった事実があります。水道栓とガス栓が埋設されているのを住民が見つけて確認したところ、11棟分の配管がされていたのです。12月には、水道局と事業者の間で11棟分の協議が終わり、水道管は県営水道に移管済とのことです。手続きの順を無視したフライングであり、事業者が最初から11棟の開発を目論んでいたのはこのことからも明らかです。結局のところ、市はずっと手をこまねいていたと言わざるを得ません。
1宅工事で既に近隣への影響が
2月10日に三宅議員と保坂が現地検分に赴いた際、近隣の方から、工事の影響で御自宅に生じたひび割れ箇所を見せていただきました(№5)。重機を使った工事の影響で地盤が沈下したことによると思われるひび割れが、建物や塀のところどころに見られました。庭の池の水位も低下したそうです。今後盛土を伴う多区画の造成工事が行われれば、さらなる被害が心配されます。
まちづくり条例や「開発事業等における手続及び基準等に関する条例」を整備しても、その解釈や運用が消極的であっては、良好な環境は守れません。今後とも藤源治の開発問題を注視していきたいと思います。