御成小学校旧講堂、保全した上での活用の方針

スレート瓦に起因するアスベストの飛散がないことを示す速報値
 7月13日(月)午後、「御成小学校旧講堂のスレート屋根の取扱い等について」を議題として市議会全員協議会が開かれました。

 今年3月に出された御成小学校旧講堂現況調査報告書中に、劣化が著しい屋根葺き材の石綿スレート板のアスベスト含有についての記載があったことを取り上げて、アスベストの早期除去を求める一般質問が、6月12日の本会議でありました。市長は早期の調査を行うと答弁、市は大気中のアスベストの濃度と土壌中のアスベスト含有の有無の測定調査を6月24日に民間業者に委託しました。今回の全員協議会は、この測定調査の速報値が出たことを受けて開催されたものです。

 市長および教育部長から議会に報告された内容は、次の3点でした。
測定調査の速報値は、現状では、屋根のスレート板に起因するアスベストの飛散がないことを示すものである。
しかし、年代的にアスベストを含有するスレート瓦が使われていると見なされ、屋根材の劣化が著しいことは事実なので、アスベストが飛散しないように手だてを講じた上でスレート瓦を全て撤去する。撤去後は野地板を補修し、その上で屋根状の金属板を仮設する。工事は小学校の夏休みに行うため、入札を行う日程的な余裕がなく、見積り合わせの随意契約で発注する。
旧講堂は貴重な歴史的建造物で、建物の意匠も優れていることから、できる限り現状保存し、学校施設として活用することを目指す。その際、費用対効果に配慮する。

今後の基本方針が示されたことには一定の評価
旧講堂の建物の保全の仕方、保全後の学校施設としての活用方法については、今後専門家などを交えて検討し、結論を出すとの説明でした。この日の全員協議会では、「保全・活用」という今後の大きな方針が示されたということです。
スレート瓦の撤去費用だけで3000万円程度かかり、保全・活用に進む中で億単位の経費がつぎ込まれる見込みです。スレート瓦撤去後にかぶせる仮設の金属屋根は一時的なものですし、撤去時の足場は、撤去後に取り除くそうです。今後の保全方法の全体像を決めた上でスレート瓦の撤去を始めれば、少なくとも暫定的な処置にかかる費用の節約はできました。
しかし、そうならなかった原因としては、一つには子ども達への配慮で夏休みに工事を行うことが望ましいと判断されたことがありますが、もう一つには、議会が「待ったなし」の対応を迫ったことがあげられます。

 71日の6月議会最終本会議では、「鎌倉市御成小学校の旧講堂のアスベストの速やかな完全除去を求める決議について」の議員提出議案が賛成18、反対7で可決しています。反対したのは、神奈川ネット、共産党、新・草莽の会の3会派です。
私は、この議案への反対討論の中で、アスベスト含有問題については冷静な対応をし、今後の方針を示すことが先決であることを訴えました。御成小旧講堂アスベスト除去決議議案 反対討論

 現状においてスレート瓦に起因するアスベストの飛散が見られないことが確認されたのであれば、本当なら、保全についての技術的な可能性や費用の問題も含め保全・活用の具体的な検討を行った上で、方針を示した方がよかったはずです。そうできないようにした責任の一端は議会にもあると考えます。
市長の決断は、現況調査報告書が保全の可能性を指摘したことに加え、多くの市民の保全を求める声に後押しされたところが大きかったと思います。保全・活用に進むに際しては、資金調達においても、市民が力を発揮してくれることを期待します。