多くの課題を残して、鎌倉市議会9月定例会閉会

「調査します」と市長が答弁
 
92日(水)に開会した鎌倉市議会9月定例会は、会期延長をして昨日1112日(木)に閉会しました。途中、97日から同16日にかけて休憩が続いた後、一般質問に対する答弁のために調査が必要であるとして、918日~1019日と112日~11日の2度にわたって長期間中断しました。
 調査が必要とされたのは、
・鎌倉市の予防接種事業において使用期限切れワクチンの使用や接種間隔の誤りなどの誤接種があった実態
・予防接種の業務委託を含む複数の事業(複数の課)で行われていた白紙請求書の利用などの不透明な事務執行
についてです。
 しかし、
1112日の時点で関係課による調査結果がまとまっていなかったため、一般質問を行っていた議員は質問の続行ができず、質問を一旦終結させて、12月議会で再開することになりました。一般質問を通告していた議員が他に3人いましたが、質問できないまま閉会、という異例の展開です。

データの集計だけで終わってはいけない
 
不正の温床となりかねなかったにも拘らず慣行として見過ごされてきた不適切な事務執行については、実態をくまなく把握して、具体的な改善策を示す必要があります。
 また、予防接種については、誤接種等の状況を過去に遡って調査し、健康被害がなかったか確認することは当然必要ですが、どうしてそのような誤接種が起きてしまったのか、原因や背景について考察し、今後に生かすことが望まれます。予防接種の種類が次々と増えて乳幼児に対する接種のスケジュールが過密化している実状も直視されなくてはならないと考えます。

議論噴出の補正予算案
 
9月定例会にかかった議案の中で議論を呼んだのは、旧鎌倉図書館の保存活用に向けた耐震・補強設計費、北鎌倉駅に隣接した隧道の開削工事費などを計上した補正予算案でした。総務常任委員会では賛成2、反対3、退席1で否決。常任委員会での補正予算案否決は22年ぶりとのことでしたが、1030日の本会議で賛成14、反対10、退席1で可決しました。
 神奈川ネットは、北鎌倉隧道の開削決定はおかしいと考え、これを重視して補正予算案に反対しました。一方、反対した会派・議員の多くは、旧鎌倉図書館について、昨年度市長が解体・撤去の方針を決定して議会も議決したのに、議会への経過説明もないままに保存活用へと方針転換したことを問題視しました。

 補正予算案への反対討論では、三宅まり議員が神奈川ネットを代表して次のように述べました。付随的な部分をクローズアップするのではなく、問題の核心をシンプルに提示しようとした主張だと自負しております!
「市長が解体を決め、昨年の12月定例会で議会が解体に係る補正予算を議決している旧図書館は、その後、保全活用に向けて方針転換がなされ、今回の補正予算では耐震・補強設計等の業務委託料が追加されています。市民からの要望に耳を傾け、市民団体から提出された調査報告書が生かされたことは評価できます。
 しかし、それによって大きく方針転換した意思決定の過程が見えてきません。意思決定の不透明さは北鎌倉隧道の問題はじめ、新焼却炉の用地選定やごみの戸別収集に通じることです。きちんと説明できる意思決定を行い、透明性を持った行政運営でなければ、常に予算に対しての疑念が生じ、混乱を招くだけです。」