子ども若者の貧困を考えるシンポジウムin鎌倉
12月12日(土)、鎌倉市の御成小学校体育館を会場にして「子ども若者の貧困を考えるシンポジウムin鎌倉」が開催されました。鎌倉市から生活困窮者自立相談支援事業を委託されて大船で相談室を開設している一般社団法人「インクルージョンネットかながわ」(以下インクルと略)の主催です。「鎌倉でも子どもの貧困?!」というテーマにインパクトがあったのか、インクルのネットワーク力の賜物か、参加者は200人超、しかも20代くらいの若い人が大勢参加していたのが印象的でした。
前半は、インクル代表理事の鈴木晶子さんの「子ども若者の貧困と活動報告」と題するお話。インクル相談室を開設した4月から11月までの生活困窮者の自立相談受付人数は144名、そのうち子ども本人、または大学生までの子どもを持つ親の相談は16名で、中高年が多数を占めている状況です。しかし、生活保護受給世帯の子どもが現在36名にとどまる鎌倉市ではあっても、就学援助の対象者は年々増加しており(2014年に対象に認定された児童・生徒は1542人、認定率は13.41%)、子どもの貧困は、現実に対策が求められる問題なのです。
経済的困難から派生する「不利」の累積で子ども・若者が人生を切り開くチャンスを制約されてしまうことが、貧困の連鎖(彼らの若年期における貧困→おとなになってからの貧困→彼らの次世代の子どもの貧困)につながる。一方、現状において経済的貧困がない場合でも、違った形の「不利」の累積(例えば過保護、教育虐待、いじめ、不登校等々)によって貧困の連鎖が起きる、と鈴木さんは指摘。そして貧困が「孤立・排除」を呼び起こすこと、逆に「孤立・排除」の状態があると貧困に陥りがちなことも強調されていました。具体的な取組みとしては、鎌倉市において子どもの学習支援事業をインクルの自主事業としてスタートさせたところだそうです。貧困が見えにくい街であるため、当事者に情報が届いているのかわかりにくいのが課題、とのことでした。
後半は、不登校や長期の引きこもりなどの子ども若者の地域の居場所の運営などを行う支援団体等の代表の方による、「子ども若者と共に暮らす地域づくり」と題したパネルディスカッションでした。何がSOSなのか聞き取れる感性が必要、私たち一人ひとりがキー・パースン、という発言には実践者の重みがありました。