御成小旧講堂をどう保存・活用する?―計画策定委員会がスタート
委員からは前向きな意見が
鎌倉市御成小学校の旧講堂。昭和8年(1933年)に建てられた和洋折衷の木造建築です。1998年に同小の新校舎が完成した後は放置され、倉庫と化して、部材の落下などの恐れから子ども達が近づけないように囲いが設けられています。議会から老朽化と屋根材のアスベスト含有を理由に解体・撤去の声が上がりましたが、市長は昨年7月、屋根の応急的な葺替えと、建物をできる限り現状保存して学校施設として活用する方針を発表しました。(2015.7.13の当HP記事既報)
屋根は昨年の夏休み中にトタン材に葺き替えられ、9月議会で旧講堂保存活用計画策定委員会を設置する条例案が可決しました。その「旧講堂保存活用計画策定委員会」(学識経験者、建築家等5名の委員)が1月18日に初会合を持ったので、傍聴しました。初回ということで、委員による旧講堂内外の見学もあり、傍聴者も同行できました。
事務局を務める教育部の担当者からは、保存活用の方向性として
・御成小の一般教室、特別教室が不足している状況を踏まえ、学校の用途として活用したい
・旧講堂の外観をできる限り残したい
・修繕に当たっては費用対効果に配慮する
の3点が示されました。
委員からは、
・登録有形文化財となるように手続きを進めた方がよい。
・費用対効果を考えるなら、解体・再建するのではなく、現在の建物を補強することになる。四角いシンプルな造りなので、補強方法はいろいろ考えられる。
・元の部材を活かす考えなら、木造軸組み工法の小規模な「実験」をして強度等を確認するとよい。
・教室不足への対策もあるが、鎌倉を象徴する建物なので何らかの形で市民に開放できるようにしたい。
・地域と共同で使える部分があってもよい。
・補修のプロセスの開示が歴史的建造物に関心を持つ建築家等にとっても役立つ。
といった前向きな意見が表明されました。
ただ、2017年度中に保存活用計画の策定、2018年度 改修設計業務委託、2019年度 着工というスケジュールについては、「少しタイト」という感想が述べられました。
旧講堂内部の見学では広々とした床にビックリ
一昨年に総務常任委員会で見学した折には、使わない机や椅子、様々な物品、書類の箱が床一面に積み重なり、雨漏りを受けるバケツまで置かれていました。屋根の葺き替えで雨漏りがしなくなったことはわかっていましたが、何と!床に置かれていた物が綺麗さっぱり取り除かれていたのです。放置・倉庫化していた旧態と今後に向けて動き始めた現況との違いは大きく、放置・倉庫化していた年月は損失であったと改めて思いました。