6月議会での観光施策についての一般質問を前に ~ 観光協会・花火大会についての「振り返り」
鎌倉市議会6月定例会が6月14日(水)から始まります。
今回の一般質問では、「鎌倉市の観光施策の今後の展開」について取り上げる予定です(質問者の順番は9人目ですので、15日の夕方か16日の午前中に質問に立ちます)。
一般質問に先立って、観光協会と鎌倉花火大会をめぐるこの間の動き※や市議会5月臨時会を振り返っておきたいと思います。
※このホームページでは、これまでに以下の記事で報告をしています。
・4月28日 鎌倉花火大会7月開催決定について市長の説明を求めることに
・5月 9 日 記者会見直前の政策会議で報告された鎌倉花火の7月開催
・5月13日 任期末の鎌倉市議会、長引く
※また、鎌倉市観光協会ホームページの4月7日付「お知らせ」を見ると、協会の立場で書かれたものではありますが、この間の経緯がわかります。
尚、ここに書かれている「観光案内所リニューアルに際しての職員の退職は『雇止め』には当たらない」という主張は、妥当であると思います。
http://www.kamakura-info.jp/news/50571
・・・・・・・・・・・・・・・・振り返り・・・・・・・・・・・・・・・・
1.議会が、新年度予算から観光協会運営費補助金分を減額した修正案を可決させたことについて
時系列で追うと次のとおり。
2月22日 議会からの依頼を受けた市長⇒観光協会会長
……予算等審査特別委員会に28年度の理事会議事録等の資料の提出するよう依頼
2月27日 協会⇒市長
……資料の提出はできないと回答
3月 6 日 市長⇒協会
……理事会議事録等の資料の提出を再度依頼
3月10日 協会⇒市長
……「予算を審議する上で、決算内容から把握できる事項以外に、理事会議事録のどの事項のどういう点について要望するのか明らかにして欲しい」と依頼。
3月13日 市長⇒協会
……「年間を通じて具体的にどのような議論を経て観光施策や事業を企画し、実施しているかを確認する必要がある」として28年度理事会議事録の全体を求めると回答
3月14日 協会⇒市長
……予算審議にあたり理事会議事録のどの部分が何故必要なのかを具体的に示すよう再度依頼
3月14日 議長⇒市長
……協会から資料の提出がない場合には予算特別委員会での予算の審査を止めると通知
3月15日
……予算等審査特別委員会の8人の委員が新年度予算から観光協会運営費補助金4668万円を減額した修正案を提出、退席委員を除く全会一致で可決
以上見ていくと、議会側の要請と協会側の意向がずっと平行線をたどっていたことがわかりますが、私としては、次のように受け留めています。
①協会について
協会は、理事会議事録等資料の提出ができない理由として、公開を前提とした文書でないこと、法律により公開が制限されている文書であると解釈していること等を挙げたが、実体的な支障について示すことはなかった。
自主的な判断により、運営状況についての説明責任を果たそうとしてほしかった。
②議会について
議会の側も、「一事が万事(一事=「雇い止め」疑惑)」の姿勢を貫くことを優先せず、「協会の運営についてどのような疑義があるから、理事会議事録中のどの事項の公開を求めるのか」ということを伝えて協会からの資料の提供を受け、予算の審査を進めることを優先すべきではなかったか。
③運営費補助金の削除について
3月14日に、協会から資料提出がなければ予算の審査を止めると議長が市長に通告する事態に至り、予算審査の停止を回避するには、新年度予算から観光協会運営費補助金を減額した修正案を提出するというカードを切るしかなかった。
その前段で①または②の譲歩が適わなかった背景には、協会と議会の間で信頼関係が失われた状況があったこと、議会内での調整力不足、市側の答弁力・仲介力不足などがあった。
2.協会が鎌倉花火大会の実行委員会を退会し、市長が花火大会の7月開催に奔走したことについて
①観光協会の花火大会実行委員会からの退会
運営費等補助金が交付されなかった協会は、運用資金が夏までも持たず、花火大会の実行委員会における事務局の責任を果たすことができないと判断、4月5日の理事会で実行委員会からの退会を決め、実行委員会が開催された同10日に協会の退会と花火大会の7月開催の中止が記者発表されました。
この時点での協会の窮状は推して知るべしですが、実行委員会からの退会を決める前に市との協議を重ねなかったことは理解しがたく、残念です。
②新体制の実行委員会の突然の立ち上げ
市長と、新実行委員会に市民有志として参画して重要な役職を担うことになる少数の人の間で話が進められて、新実行委員会による花火大会の7月開催が発表されました。決定に至る過程が不透明で、市長が急いだ理由についても様々な憶測が飛び交っています。
7月に開催できてよかった、という声があるのは確かです。
しかし、補助金削除という異例の事態を契機に、観光協会の組織あり方や市とのパートナーシップを問い直し、協会の側で検討を行っていた花火開催時期の秋への移行についても議論する、ということがあってもよかったと思います。
そうした機会を逸し、花火大会に向けての観光協会の立ち位置もわかりにくいものになってしまいました。
3.5月臨時会で観光協会運営補助金の補正予算可決
市長が観光協会運営費補助金4668万円計上した補正予算案を提示、5月31日に臨時議会が開催されました。
補正予算案は、観光厚生常任委員会での予備審査、総務常任委員会での審査を経て、本会議で賛成多数(賛成21、反対3、退席1)で可決しました。
臨時会開催に至る経過は、次のとおりです。
4月23日 市議会議員選挙投開票。新期の議会の構成員が決まる。
4月25日 観光協会⇒市長
……28年度の理事会の「次第」(議事録ではなく、簡略な次第)を提出
5月12日 総務常任委員会協議会開催、深夜に及ぶ(議題は観光協会への補助金について)
5月15日 市議会の新たな任期がスタート
5月16日 市長⇒協会
……理事会の次第にとどまることなく議事録を提出するよう求め、「市議会において補正予算が審議されることが想定される」として就業規則、インバウンドやオリ・パラ対応のビジョン等を示すよう依頼
5月19日 協会⇒市長
……理事会議事録、就業規則等を提出し、運営費補助金の補正予算の実現を要望
5月31日 臨時会開催 補正予算案可決
運営費補助金の補正予算に賛成、総務常任委員会で付帯意見
当初予算から協会の運営費補助金を削除した理由は、議会が要求した審査資料が提出されず補助金の適否が審査できない、というものでした。
理事会議事録等が提出されたことで、この理由は成り立たなくなりましたが、協会が花火大会の実行委員会の事務局から降りてしまったことで、当初予算で付いていた額をそのまま交付してよいのか、という問題が浮上しました。
しかし、運営費補助金4668万円のうちの4095万円(88%)が人件費と家賃で、残りの573万円が、鎌倉まつり、薪能、フォトコンテストなどの事業費補助とホームページ作成・運営費であるため、協会職員の人件費が遅滞なく、賃金の全額払いの原則遵守で支払われることを優先するべきと考えました。
花火大会実行委員会の事務局機能を市が担っている現状を考慮すれば、「人件費が満額支払われる」という裏付けを取った上で補助金の交付額を減じる修正提案もあり得たのかもしれません。しかし、その場合の減額分は、協会の留保金を吐き出すことによってやりくりすることになります。
観光協会が組織を強化し、新たな事業を展開することを期待するのであれば、留保金を減じさせることにつながる減額の修正提案は困難だと判断しました。
こうしたことから、減額修正を提案することなしに補正予算案に賛成しましたが、総務常任委員会において、観光協会と市のあり方について付帯意見をつけることを提案しました。
付帯意見は委員会の総員(委員長を除く6人)の賛成がないと付けられないルールなので、他の委員の意見を汲んで「協会による観光施策の展開と運営全般においては、より広い担い手をまきこんだオープンな組織運営を目指すべきと考える。」などのフレーズを削って確定させたのが、次の文面です(クリックすると見られます)。
補正予算・総務委員会付帯意見
以上、長文の「振り返り」でした。次は、一般質問です!