岩手県紫波町の公民連携、オガールプロジェクト
11月1日の総務常任委員会視察は、全国からの視察が引きも切らない岩手県紫波町のオガールプロジェクトでした。
国の補助金に頼らない、公民連携PPPの先進事例と言われています。
塩漬けの町有地が公民連携によるまちづくりで価値を高めて、成長するまちに
紫波町は1998年にJR東北本線の新駅として紫波中央駅が開業した際に駅前の土地10.7haを公共施設用地として取得しました。
その後8年間にわたって事業化が進みませんでしたが、2007年3月に公民連携元年宣言、2009年2月に公民連携基本計画を策定して始動したのが、オガールプロジェクトです。
現在、オガール地区では、芝生の広場をはさんで、「オガールプラザ」(図書館・交流館・子育て応援センターの公共施設と産直マルシェ・カフェ・眼科などの民間施設からなる官民複合施設)、「オガールベース」(バレーボール専用体育館・ビジネスホテル・コンビニ・飲食店からなる民間施設)、紫波町役場庁舎、オガール保育園・木質バイオマス発電のエネルギーステーションなどが建ち並んでいます。県産・町産の木材を多用し、統一感のある街並み・景観です。
隣接して町が宅地を分譲した「オガールタウン日詰二十一区」の住宅が広がっていますが、こちらも、町産木材を活用した高気密・高断熱の紫波型エコハウスとのことです。
民間会社が官民連携のエージェント(代理人)
オガールプロジェクトでは、何種類かの公民連携PPP手法が取られています。
役場庁舎はPFI手法(民間事業者が施設を建設し、施設完成直後に公共に所有権を移転し、民間事業者が維持管理及び運営を行うBTO方式)、オガールプラザ(事業主体:オガールプラザ㈱ )はPPP手法(RFQ、RFP2段階プロポーザル。完成後に町は中央棟を購入)、オガールベース(事業主体:オガールベース㈱ )は、定期借地契約&事業公募などです。
(詳細は、こちら参照 http://www.jfma.or.jp/award/10/pdf/paneldata01.pdf)
こうした多様な手法を駆使したプロジェクト全体を誘導する役割を担っているのが「オガール紫波株式会社」です。
紫波町の出資による第三セクターとして、公民連携基本計画ができた2009年の6月に設立され、オガールプロジェクトを推進する営利会社です。
同社が紫波町とビジネスを考えている民間企業の間に入って、官と民が連携するためのエージェントの役割を担っていることが、オガールプロジェクトの特徴であるとも言えます。
視察時に配布された資料には、オガール紫波(株)は「パブリックマインドを持った民間会社」とありました。
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「パブリックマインドを持った民間」という言葉は、最近鎌倉市でも使われるようになりました。
自治体としての成り立ちが大きく異なる紫波町と鎌倉市ですが、共に東洋大学の公民連携研究とつながりを持っています。
「官民での公的不動産の利活用を推進していく」という方針を掲げている鎌倉市は、紫波町で採用されている手法も参考にしているのだろうと感じた視察でした。