第1回 鎌倉市本庁舎等整備委員会 傍聴記

1週間経ってしまいましたが、8月2日(木)に開催された第1回鎌倉市本庁舎等整備委員会(以下、整備委)を傍聴した報告です。傍聴者は20名でした。

整備委は、学識経験者・知識経験者・公共的団体推薦枠の計9人によって構成され、委員長には、横浜市大の国吉直行氏が就任しました。
2016年度に行われた本庁舎整備方針策定委員会の委員長を務めた方です。公的不動産利活用推進委員会(2017年度)の副委員長であった東洋大学の増井玲子氏も引き続き委員に加わっています。

委員会配付 資料7(抜粋)

 

11月には基本構想パブコメ案を固める?!
配付された委員会資料では、既に公表されているこれまでの調査・検討経緯の他に、新たに次のような内容を確認しました。

① 整備委は「本庁舎等の基本構想」を調査審議する。
基本構想は、市民対話を踏まえた「市民がつくる基本構想」を基調としつつ、それに整備委の考えを照らし合わせてまとめる(資料7抜粋・上段 参照)

② 新たな本庁舎等の規模や建設コストも基本構想の検討項目である

③ 想定しうる最大規模の降雨に伴う洪水により柏尾川が氾濫した場合の行政施設用地の浸水想定は、現況で0~1.5m。しかし、区画整理事業時に行う整地によって浸水しないように整備する、としている

④ 今年度のスケジュールとしては、市民対話は今年10月までに、整備委は来年2月までに、それぞれ計5回開催する。
基本構想のパブコメ案は11月中にまとめ、12月から1月にかけてパブコメを実施、3月に確定させる(資料7抜粋・下 参照)

委員からは…
市が、「移転先に本庁舎を整備することで防災面のバリューが提供できる」としていることについて、委員からは
地域全体の防災力を考え、その中で市役所が担う防災機能を考えていくということだ
本庁舎の建物と敷地だけ考えるのではなく、災害時の救助・復旧の動線(陸路および空から)、周辺から本庁舎へのアプローチを考えなくてはならない
といった意見が出ました。

また、防災に限らず、本庁舎のことだけを議論するのでは不十分だという問題意識に基づく発言が相次ぎました(以下、手書きメモをもとに構成)。
道路アクセスなどの交通問題、河川氾濫などの防災面の事情、鎌倉・大船地域との関係、商工業との関係など、市役所を取りまく状況がわからないと議論を進めにくい。
部分最適(施設)と全体最適(深沢地域全体、鎌倉市全体)を行き来しながら考えなくてはならないが、時間的な制約がある。
庁舎で提供する行政サービスとまちづくりはあまり関係ないと考えるのが普通だが、いやそうじゃないんだ、まちづくりとの関係が大事なんだ、コンセプトを作っていくんだということなら、論点を整理しないと、何を検討するのかわからなくなってしまう。

本庁舎整備に関係する委員会に加わって来られた国吉委員長、増井委員を除く委員の方たちは、これまでの経緯等を事務局から説明されても、「ハイ、そうですか」とすんなりと議論に入ってはいけないような印象でした。
深沢地域全体の都市計画、交通計画が不透明で、本庁舎現在地(御成町)の整備についての情報も不十分な状況では、当然です。

結局、限られた開催回数でも議論ができるよう、全体が見渡せる資料を用意することを国吉委員長が求めて、第1回の整備委は終わりました。

懸念されるのは…
今回傍聴して一番驚いたのは、整備委における実質的な議論である「論点の調査審議」が、9月と10月の2回しかなく、11月には早くもパブコメ案の検討に入ってしまうという性急さです。

市民対話や拡張ワークショップで「こんな本庁舎がいいな」という意見を出してもらって「市民がつくる基本構想」というパッケージにし、それに整備委で専門的な見地からの修正を施してもらって、ほどほどの着地点を見出す…という基本構想づくりでは、広範な市民の合意形成はできないのではないかと懸念します。