審議会でも様々な技術的な課題が指摘された生ごみ減容化施設

8月20日、第19回鎌倉市生活環境整備審議会が開催され、6月1日の前回から引き続き、生ごみの資源化が議題となりました。

廃棄物処理、環境科学等の技術系の有識者7人からなる審議会であるため、鎌倉市が計画する「生ごみ減容化施設」(8月8日の記事参照)について、専門的知見に基づく質問や意見が多く出て参考になりました。
それらを大きく括ると、
HDM方式で生ごみの減容化・資源化をはかるにしても、小規模な施設で始めて、その方法で順調にいくのかどうか丁寧に検証する必要がある
久喜・宮代衛生組合の施設をそのまま鎌倉市に作ってもうまくいかない
コストを度外視してはいけない
といったところになりそうです。

個別の質問や意見をもう少し紹介します。
HDMは特定のメーカーのシステムではないのか。それ以外にも微生物発酵のシステムはあるはずなので、競争原理を働かせて選ぶべきである。
◆大事なのは、コストの問題と排出者(生ごみ分別に協力する世帯)負担への配慮
久喜・宮代の堆肥の組成データをみるとpHが非常に高い。菌床に木質チップと微生物以外が混ざっていないか調べた方がよい。
◆(微生物の働きは環境条件によって大きく変わるので)最終的には鎌倉オリジナルの菌床になるくらい、菌の管理は重要。塩分濃度にも注意
鎌倉に作る場合は、脱臭装置は必須
◆久喜・宮代の施設は開放型で、脱臭装置も排水処理設備もない。鎌倉で施設をつくる場合は、臭気対策上、開放型でなく密閉型になる。
そうすると蒸散が限定され、水分が残って排水処理設備も必要になると考えるべきである。

このように、クリアしなければならない課題が多々あることを再確認する一方、それでもなお、鎌倉市が生ごみの減容化・資源化に強く固執していることがわかった審議でした。
しかし、固執する理由が、「新ごみ焼却施設の建設とは関係なく、ゼロ・ウェイストの実現のため」という説明には、首をかしげざるを得ません。

また、鎌倉市の試算では、HDM方式による生ごみ処理の方が焼却よりも安くつくことになっていますが、試算の設定条件も含め、さらなる検証が必要だと感じました。