つながる鎌倉条例

鎌倉市議会9月定例会に、「つながる鎌倉条例」の制定議案が上程されています。
一般的には市民活動推進条例と名付けられているものです。

昨年の9月議会では「私たちのまち鎌倉のことに関心を持ち、自分たちでより良くしていこうという思いを共有して行動するための条例」という長い名称で提案されましたが、否決されたため、さらなる検討により名称・構成・内容等を変更して再提案されました。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soumu/documents/h30-9teireikaigi.pdf
(議案第42号 つながる鎌倉条例の制定について p32~36)

条例案は、9月13日の観光厚生常任委員会で審査されますが、これに先立って、9月11日の本会議で議案関連質問を行いました。
市民活動の推進にはもちろん賛成の立場ですが、賛成だからこそ条例に対しては意見が多々あります。その一部に基づいた質問です。
市民生活部長と市長の答弁はメモできなかったので、質問部分のみですが以下に載せます。

Q1. 初めにひとつ、条文の文言の確認する。
今回提案の条例は、第2条において用語の定義をしている。2項の「市民活動」の定義で、「政治上の主義を推進し、支持し又はこれらに反対することを目的とする活動」を市民活動から除外しているが、どういう意味なのか。

Q2. 例えば憲法擁護とか脱原発などの活動は「政治上の主義」を推進するものではなく、具体な政策提言活動なので市民活動から除外されるものではなく、この規定が市民活動団体の政治的自由を制限するものではないことを確認した。

昨年9月議会に示されて否決された長い名前の条例案に比べると、条文の整理がだいぶされたとは思う。
前の条例案では、基本理念を「別表」に掲げるという異例の構成だったのが、条文第3条に位置付けられ、条例とは別に「指針」を策定するとしていたのが、指針の主たる内容が条文化された。市の施策は条文第8条に、協働事業は第9条に規定された。
しかし、第10条の2項には、市民活動推進委員会の調査審議事項として、「市民活動及び協働の推進についての指針」があがっている。これはどういうことか。

Q3. 昨年の条例案では「施策は指針に委ねていた」のが、今回の条例では「施策の具体的な取組み」を指針に書きこむという説明だ。
その指針は市民活動推進委員会をつくって調査審議してもらうということだが、いつできるのか。

Q4. 昨年の9月議会で質問した折に、「指針の部分に大きく委ねられている条例のつくりだが、委ねるにしても、委ねる元の部分が条例の中になくてはおかしい」と指摘した。
今回の条例案では「活動の場の提供、財政的支援、情報提供、市が行う業務への参加機会の提供などなどをやっていきます」ということで、第8条がまさにその「委ねる元」になっているとも言える。

結局昨年の条例案と今回のものでは、条例の構成はかなり変わったが、本質的なところは変わっていない。
条例ができることによって、市民活動推進や協働の分野で従来市が行ってきたことに何か新しいことが加わるのか、または従来の取組みが強化されるのか、それによって市民活動がどのようにエンパワーされるのか、そういったことが見えてこない。
それは、市として市民活動推進や協働でこれから何をやろうか自ら検討していないからではないか。そこがまさに問題だ。

自らは検討せず市民活動推進委員会に調査審議してもらうのか。
例えば財政的支援に関すること。具体の施策は議会が審議する条例にはない。
中途半端なところで投げ出して、市民活動推進員会に考えてもらう、その方がいいんだと開き直っているように見えるが、違うのか。

Q5. 市民活動団体と市による相互提案協働事業は、残念ながら低調だ。
現状で良いとは思っていないが、2018年度の予算が120万円であるところ、来年度は90万円に減額される予定であると聞く。
つながる鎌倉条例を制定しようとしている折に、これまで続けてきた協働事業の予算を減らす。よりよくしていく枠組みが示されているならわからなくもないが、どうなっているのか。
市民活動や協働の推進という「言っていること」とやっていることが違う、ということにはならないか。

より良くしていく枠組みを考えているなら、そうしたことが条例に反映されるべきだ。
市民活動や協働をより良いものにしていく覚悟があって条例をつくるのなら、それが見て取れるようなものになっていなくてはならない。