神奈川県立公文書館の見学

6月28日、かながわ市民オンブズマンのメンバー11人で、神奈川県立公文書館(横浜市旭区)を見学しました。
現在、都道府県レベルの公文書館は全国で38館(市町村では39館)ありますが、1993年11月にオープンした神奈川県立公文書館は、その先駆け的存在です。

私は20年余り前に一度見学会に参加し、その後も行政文書の閲覧や企画展示を見るのに訪れています。
地下1階・地上4階建て、床面積9,956平方メートルの落ち着いて堂々とした外観の建物。現在の職員数は、館長以下20人(選別にあたる職員は、そのうちの8人)です。

荷解・選別室

同上

保存期間に応じた選別や文書管理
今回は資料課の高﨑さんと長谷川さんに案内してもらい、荷解・選別室、展示室と閲覧室、全部で7つある書庫のうちの1号、3号、5号書庫を見学しました。

行政文書は、保存期間1年、3年、5年、10年、30年に分類されます。
1号書庫には、本庁や出先機関から搬入されて荷解・選別室で選別されて「保存」と決定された「保存期間10年未満文書」(フォルダー文書)が収納されていました。

1号書庫

一方、保存期間が10年以上の文書は、作成後5年を経過すると公文書館に移され、簿冊に編集・製本されて、残りの保存期間が満了するまで館内の中間保管庫(2号書庫)で保管されます。保存期間満了後は、選別会議にかかり、そこで保存と決定し文書は「歴史的公文書」となります。3号書庫にはこの歴史的公文書が収納されていました。

上段に「鎌倉郡役所 震災書類」の簿冊

5号書庫には、旧家の家伝文書など、県に寄贈・寄託された古文書・私文書が収納されています。資料の保存状態を良好に保つため、5号書庫は、天井・壁・床・書架すべて吸湿性のある木材でつくられており、特に貴重な古文書は桐箪笥に入れられていました。

5号書庫の旧家の文書

神奈川県立公文書館の特徴は、中間保管庫があることです。
保存期間が長い行政文書を期間満了前に公文書館内の中間保管庫に移してしまうことで、保存すべき公文書が原局の判断で勝手に廃棄されたり保管場所が分からなくなったりすることなく、確実に保存され、その後公文書館職員によって客観的に選別されるようになっています。中間保管庫は神奈川県が全国に先駆けて導入したシステムです。

 公文書館を持つということ
県は26年も前にこの公文書館を開設し、行政文書のライフサイクルの適切な管理を図っています。
県内では川崎市、相模原市、藤沢市、寒川町が公文書館を整備していますが、鎌倉市では歴史的公文書の選別作業の進捗は見られるものの、施設整備の具体的な検討には至っておらず、早期の検討開始が望まれます。

県立公文書館で公文書が大切に保存されているのを目にして、県民・市民の知的財産としての公文書の意味合いを改めて認識しました。