回収された容器包装プラスチックは何に使われている?

容器包装リサイクル法に基くプラスチックの再商品化
1月23日、神奈川ネットの「プラスチックごみプロジェクト」のメンバーで、川崎市臨海部のJFEプラリソース㈱を見学しました。全国の多数の市町が分別収集した容器包装プラスチック(以下「容リ・プラ」)の再商品化を日本容器包装リサイクル協会から委託されている大手の事業者で、県内では、横浜市、川崎市、横須賀市、藤沢市他の容リ・プラが同社で再商品化されています。

広大な水江町の敷地内には、JFE関連企業の工場が何棟もあり、その中で私たちが見学したのは、廃プラスチック原料化工場NFボード製造工場です。
原料化工場では、市町村が分別収集し、圧縮梱包(bale化)されたプラスチックが、再商品化の原料として粒状に加工されます。
再商品化の手法には、ケミカルリサイクル(熱や薬品で成分を分解して化学原料にして使う)材料リサイクル(プラスチック製品に再生)があります。原料化工場では、ケミカルリサイクルで受託した市町村のベールと材料リサイクルで受託した市町村のベールは、別系統で加工されていました。

原料化工場に搬入されたベール

JFEプラリソースには系列の製鉄所があるため、同社のケミカルリサイクルは、下図のように、廃プラスチックを高炉で鉄鉱石の還元剤として使う高炉還元剤化と発生した高炉ガスを発電などに利用するコークス炉ガス生成です。
材料リサイクルは、畜舎などに使うNFボードへの再生です。
(なお、 鎌倉市の容リ・プラも、一部がケミカルリサイクルされていますが、受け入れ先は川崎市の昭和電工で、手法はこことは異なる「ガス化」です。)
HP記事2020.1.25図のサムネイル

NFボード

材料リサイクルは残渣率が高い、高炉還元剤化・高炉ガス化では廃プラは石炭の代替⁈
教育センター棟で伺った説明で印象的だったことをあげます。

ケミカルリサイクルでは多種類のプラスチック、多少汚れたプラスチックの混在があっても処理できるが、材料リサイクルの工程では、資源化できない廃プラが約50%生じている。
容器包装リサイクルの現在の制度運用では、コーディネーター役の日本容器包装リサイクル協会の差配により、全国の容器包装プラスチックの総量の半分までは「材料リサイクル優先」になっている。
材料リサイクルは、再生を繰り返せば原料として劣化し、最終的にはケミカルリサイクルまたは燃焼処理になる。
粒状にした廃プラの高炉還元化剤としての利用における石炭コークスとの混合率は、コークスの1%程度。水素の有効利用は図れる。
日本からは年間約150万トンの廃プラスチックが海外に輸出されていたが、最大の受入れ先だった中国、続いて東南アジア諸国が禁輸措置をとったことで、国内において廃プラ残渣の受け入れ先が不足し、処理コスト(単価)が高くなっている。
モバイルのバッテリーなど、リチウムイオン電池を含む電子機器がプラスチック製容器包装の中に混入し、プラスチックのリサイクル工場での火事が増加している。

安全管理で見学者もヘルメット着用

容リ法全面施行から20年…
JFEプラリソースでは、遠いところでは札幌市の容リ・プラを受け入れてケミカルリサイクルを行っているそうです。
容器包装リサイクル制度のもと、収集自治体から再商品化事業者へと容リ・プラは全国を駆け巡っているのだと改めて認識しました。
きわめて大きなシステムですが、残渣率、異物混入や環境負荷の問題も含めて、より効率的な制度運用がはかられなくてはなりません。

プラスチックリサイクルは、何重もの手間、高度な技術と処理施設を必要とすることを痛感しました。資源化率(有効利用率)を上げることは必要ですが、より重要なのは、やはりプラスチックの使用量を減らすことです。
また、処理技術や収集・処理体制が普及していない国々に日本の進んだノウハウを提供することは、海洋プラスチック問題の改善にも資する有益な海外協力だと思います。