GIGAスクール構想を問う (2)

手段であり目的ではないと言うが…
荻生田文科大臣は、「Society 5.0 時代に生きる子供たちにとって、PC 端末は鉛筆やノートと並ぶマストアイテムです」「ICT環境の整備は手段であり目的ではないということです」と言っていますが、本当にそうでしょうか?ツール・手段が学びの質を変えてしまうことが気がかりです。

基礎学力を培うのは、やはり母語の言語能力、読解力です。
また、「知識偏重教育はダメ」と言われて久しいですが、体系的な知識を身につけることは、あらゆる分野でのリテラシーにつながります。
頻繁にタブレットを使った学習が積み重なると、タブレットで知りたいことだけを調べて分かった気になる学習態度が身についてしまうことや、知識を尊重する気持ちが薄らぐことが心配されます。小学校1年生から「1人に1台端末」ということが、子ども達の学びとして相応しいものとは思えません。

人手不足をタブレットで補う?
文科大臣は「教育の技術革新は、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない公正に個別最適化された学びや創造性を育む学びにも寄与する…」とも言っていますが、これにも疑義があります。
タブレットの活用による「個別最適化された学び」と言うのは、教員を今よりも手厚く配置した上でなら可能な部分もあるかもしれません。しかし、現状で教員が不足し、将来的にさらに厳しくなることが予想される状況での「1人に1台端末」は、人手不足をタブレットで補う事態を見越したもののようにも思えます。
低賃金で長時間労働を強いられている非常勤教職員の処遇改善が進まない中でモノにお金をかけるのは、あるべき教育行政とは思えません。

Wi-Fi in Schools オーストラリアのサムネイル
Wi-Fiネットワークの整備で子ども達の健康への影響が心配

これまで鎌倉市の小学校でのWi-Fi環境は、避難所となる体育館への導入や、各小学校に20台ずつ市費で(←地方交付税不交付団体であるため国の補助金なし)20台配置しているPC端末のWi-Fi接続などに限定されていました。
しかし、校内高速通信ネットワークの整備ということになると状況は大きく変わります。
子ども達は学校にいる間中ずっとWi-Fiの電波に曝されることになります。健康被害が懸念されます。

「今日ではWi-Fi対応の機器ばかりなので、たいていの家庭でもWi-Fiネットワークを利用している。なぜ今更学校のWi-Fiを問題にするのか」と言われそうですが、これほど大規模に全国一律で学校にWi-Fiが導入されるのは初めてのことです。リスクを予見し、子どもたちの身に起きるかもしれない変化に注意を払うことは必要です。

Wi-Fi ネットワーク整備後、各学校は、頭痛を訴えたり、元気をなくす子どもについて、「Wi-Fiが影響しているのではないか」ということを気に留めて、記録に残してほしいと思います。