鎌倉市はローカル5Gに手を挙げてはならない

今年、5Gの商用化が始まる
5G(第5世代移動通信システム)は、高速大容量、低遅延、多数同時接続を特長とし、ビッグデータとAI、IoTなどの活用が社会問題を解決すると政府が喧伝するSociety 5.0を実現する上で必要不可欠な通信システムと位置付けられています。
通話・通信のためだけではなく、様々な産業分野や自治体などでの利用、たとえば、人が大勢集まる場所で不審者を見つける監視カメラ、重機の遠隔操作、自動運転、遠隔医療、農業・防災などでの利用が想定されているようです。
日本では、昨年4月に携帯電話4社に対する周波数割り当てが完了しており、今年春以降に商用化が始まります。

しかし、5Gが使う電波の周波数は従来の4Gよりも高く、電波は周波数が高くなれば高くなるほど飛ぶ距離が短いため、スモールセル基地局が100mおきに設置されるとも言われています。また、超高速の通信を複数のユーザーに向けて同時に行うため、ビームフォーミングという指向性のある電磁放射線を作り出す新技術が使われます。
基地局の密集設置とビームフォーミングで、私たちが近距離から指向性のある強い電波を浴びる危険性は飛躍的に高まります。

ローカル5Gとは
また、政府は、企業や自治体、大学などの「通信事業者以外の様々な主体」が、限られたエリアで5Gシステムを構築する「ローカル5G」を推進しています。
鎌倉市では児童生徒に1人1台のPC端末があてがうGIGAスクール構想の補正予算が2月13日に成立しましたが、政府はローカル5Gの活用モデルのひとつとしてGIGAスクールも考えています。
総務省は2月6日から3月6日まで、「地域課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」の提案を募集しています。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban14_02000423.html

関連質問で慎重姿勢を求めました
市議会2月定例会の新年度予算についての各派代表質問が2月19~21日に行われました。
20日の公明党の大石議員の代表質問の中で、上述の総務省の提案募集に手を挙げてはどうかという趣旨の質問があり、これに対し松尾市長は「企業等から相談があれば積極的に支援する。行政施設における導入可能性についても情報収集および研究をしていきたい」と答弁しました。
そこで翌21日にこの答弁に対する関連質問を行い、「5Gの電波の健康被害へのリスクへの考慮をせずにローカル5Gに前向きな答弁をしたのか」と質しました。
市長は、総務省の電波防護指針に沿って行われるものであれば問題ないと答え、5Gの電波特性に対しては、全く無頓着であることがわかりました。
EUの本部があるベルギーの首都ブリュッセルでは、ブリュッセル首都圏地域政府の環境大臣が昨年3月31日に「市民の健康への恐れのためにブリュッセルへの5Gの導入をストップする」と表明しています。

「ブリュッセルの人々は、利益と引き替えに健康を売り渡せるモルモットではありません」5Gリスク情報室のページより
(オリジナルの出典は
https://www.takebackyourpower.net/brussels-first-major-city-to-halt-5g-due-to-health-effects/)

海外に目をやれば、ブリュッセル市以外でも通信事業者(携帯電話会社)による5Gの導入を一時的に阻止することを議決したり、中継基地局の設置を規制する自治体が出てきているのに、自治体自ら5Gの構築に乗り出すなどということは考えられません。
鎌倉市自ら民間企業とタイアップしてローカル5Gに名乗りを上げれば、総務省は歓迎するでしょう。しかし、市民にとって健康リスクを上回るメリットがあるのか、市長はよく考えていただきたい。市長がやりたいと思っている新規施策は、5Gでなくてもできます。5Gでなければできないというなら、取りあえず諦めるべきです。

【5Gについて参考になるサイト】
●NPO法人市民科学研究室・環境電磁界研究会による 5Gリスク情報室 https://www.goojii.info/

●いのち環境ネットワーク https://www.ehs-mcs-jp.com/
(↑今年1月24日に参議院会館で行った院内集会の記事も読めます。)