新型コロナウイルス対策の補正予算

鎌倉市内の累積感染者数
昨日の土曜日(4月25日)は、午前中10時頃に防災行政用無線で松尾市長の声が流れました。
市民への外出自粛のメッセージとともに、「観光やレジャーの方はお帰りください」と言っているのがハッキリ聞こえました。
鎌倉市の人口は17万2千人。4月24日現在の累積感染者数36人は、人口比では県内で突出して高い状況です。
患者確認状況は、市のホームページで見られます。https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/skenkou/covid-19.html

鎌倉市役所の前庭のテント(庁舎内が来訪者で混みあいそうな場合に備えたもの)

県議会で可決した補正予算
神奈川県議会の臨時会が4月24日(金)に開催され、新型コロナウイルス対策にかかる補正予算案(総額538億円)が可決しました。
県からの休業要請(対象6業種)または営業時間を短縮した事業者(飲食店など)に対する、1事業者10万~30万円の協力金で総額125億円
集合検査場設置、防護服購入、病床確保に対する補償等で58億円
軽症者を受け入れる湘南国際村センターとアパホテルの借り上げ費で35億円
が計上されています。
(県の支援策リーフレットは、次をクリック
http://www.pref.kanagawa.jp/documents/57830/leafret-cz020425-3.pdf
http://www.pref.kanagawa.jp/documents/57830/leafret_co200425-34.pdf)


鎌倉市議会は4月28日に臨時会

鎌倉市議会の臨時会は、4月28日(火)午前の開催です。その後委員会で付託議案等を審査し、30日(木)の本会議で採決です。
一般会計 約195億円の4月補正予算案が審議、採決されます。
(補正予算案は、次の「議案集」41頁以下 参照 https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soumu/documents/r02-4teireikaigi.pdf )

国が1人10万円を一律に給付する「特別定額給付金事業」は、財源は10割国の補助金ですが、市町村が補正予算として通します。
金額は、給付金と事務費を合わせて178億2600万円です。
中小企業や個人事業主に対する家賃支援の給付金(最大100万円。市の独自事業)の予算は12億8千万円。
(事業者にとって固定費である家賃の負担は大きく、閉店・廃業といった事態に陥らないように家賃の支援を行い、市域の経済崩壊を防ぐことは喫緊の課題。この給付金は、速やかに届くようにしたい。)

約195億円は、国庫補助金(特別定額給付金とその他で約180億円)と一部企業からの寄付金1千万円を除き市の一般財源で賄います。
そのための財政調整基金からの繰入金は14億6747万円です。

県内自治体の財政調整基金残高
財政調整基金は、財源不足に備えるため、決算剰余金などを積み立て、財源が不足する年度に活用する基金、いわば自治体の「貯金」です。
25日の朝日新聞朝刊には、「業者支援 にじむ懐事情」という見出しで、
新型コロナウイルス感染拡大で打撃を受けている中小企業・個人事業主への支援策に、神奈川県内自治体それぞれの財政事情が反映されているという記事が掲載されました。

各市町村の財政調整基金残高(2018年度決算)と住民1人あたりに換算した金額の一覧表を見ると、
1人当たりの換算額が全体で最も少ない川崎市は4千円
19市中で最も多い厚木市は5.9万円
大きな開きがあることがわかります。厳しい財政状況の川崎市は、独自支援策を打ち出していません。
鎌倉市の残高は57億円。1人当たり換算額は、厚木市に次いで2番目に大きく(しかし、若干差が開いて)3.3万円となっています。
残高57億円は、「ようやくここまで貯めた」という額であり、かつ、市の基本計画に位置付けられた今後数年間における大規模事業での取り崩しも想定されています。
とはいえ、財政調整基金は「ここぞという時」に使うべきものであり、今がその時であることは間違いありません。

政府の緊急支援策 ~ アベノミクスの失敗が災い!?
国に目を転じると、考えこまざるを得ないのが、政府の緊急支援策です。
欧州の緊急支援策が、従業員給与の肩代わりなどの休業補償や解雇防止を重視した内容であるのに対し、日本政府は1人10万円の特別定額給付金に約13兆円を注ぎこもうとする一方で、欧州のような休業補償には後ろ向きです。
遅ればせながら様々な支援策を提示してはいます。
明日から国会審議に入る補正予算の歳出総額は25兆6914億円と過去最大。当然ながら財源のほとんどが赤字国債。
それでいて、給付金主体の内容では、生活困窮や経営難による自殺者、解雇・雇止め、企業の破産・廃業を食い止められるものになるのか疑問で、V字回復という言葉に虚しさを覚えます。
https://www.kanto.meti.go.jp/kansensho/data/200407_coronavirus_hosei_pr.pdf

「異次元」というほど大胆な金融緩和(アベノミクスの第1の矢)と機動的な財政出動(第2の矢)を平時において行ってきた結果、日本は国と地方で合わせて1100兆円の借金を抱え、国内総生産(GDP)に対する債務比率は、世界188カ国中最下位になりました。
欧米のようにスピーディーで思い切った緊急支援策が取れず、後手に回って迷走しているのは、「ここぞという時」にしか使えないはずの切り札を使い続けてきたアベノミクスが引き起こした惨状に思えてなりません。
補正予算は、感染拡⼤防⽌策と医療の確保、雇⽤の維持と事業の継続を緊急にはかるために組まれますが、「コロナ以後」の社会をどう修復していくのか、ということも今のうちから視野に入れておく必要があります。
アベノミクス(自治体においては、ローカルアベノミクス)では、修復はできません。もっと実質をともなった地域分散型の経済・社会システムを視野に入れたものであるべきだと思います。