鎌倉市の新型コロナウイルス対策 補正予算(その2)
鎌倉市議会4月臨時会が4月28日に開催されました。
本会議後、議案が付託された教育こどもみらい、観光厚生、総務の3常任委員会が持たれました。
特別定額給付金の振込み開始は6月中旬
国の補助率10割で住民基本台帳に載っている全員に対し1人一律10万円を給付する「特別定額給付金事業」や、鎌倉市独自の「中小企業家賃支援給付金事業」を含む総額195億円の補正予算案は、総務常任委員会で総員賛成により可決しました。
特別定額給付金については、30日の本会議で補正予算案が可決・成立してから、受給権者宛てに申請書を送付するシステムの改修を行います。
そうした手順もあり、給付金が申請を行った世帯主の口座に振り込まれるのは6月中旬頃からになるとのことです。
所得制限等を設けない一律給付を緊急支援策として行うのは日本だけ。
欧米主要国は、ベーシックインカムの考え方が普及している国も含めて一律給付はしておらず、外出禁止や休業要請を発出したと同時に休業補償や解雇防止策をとっています。
中小企業、個人事業主への家賃支援
観光厚生と総務の両常任委員会では、中小企業家賃支援給付金事業について様々な質問、意見が出ました。
家賃支援の対象要件には、「法人の場合は本店所在地を市内に登記、個人事業主の場合は市内に住民登録をしていること」があがっています。
これについては、「個人事業主が市外に住民登録している場合にも、支給率を若干抑えた支援ができないのか」「この支援制度の枠内でできなければ別の支援の仕組みを講じるべきではないか」という指摘がされました。
また、支給額は、次に掲げるような12区分ですが、売り上げ減少率40%以下のケースでの支給額があまりにも低く、増額をはかるべきであるとの意見が出ました。
財政調整基金が残りわずかに
いずれの意見とも、そのとおりなのですが、この家賃支援事業12億7500万円の財源は財政調整基金です。
財政課長からは、今回の制度設計のための基金の取り崩しは、現時点でできる精一杯のものであり、これ以上取り崩すことはできない、とのキッパリとした説明がありました。
25日付の記事で「2018年度決算で残高57億円」と書きましたが、説明によれば、2019年度末で44億円となり、今年度当初予算への繰入金は27億4千万円、今回の補正予算の家賃支援事業ほかで14億6700万円取り崩す結果、残高は約2億円にまで減ってしまうとのことでした(44億―27.40億―14.67億≒2億円)。
中小企業や店舗が、一時的に休業や事業縮小をしても倒産や廃業せずに継続できるように支援することは、地域経済対策として、また事業者と家族の生活保障策として重要であり、急いでやらなければ手遅れになってしまう支援です。
財政調整基金を大きく取り崩すことにはなりますが、複数の事業に分散させずに、これ1本に絞ったことは意味があると思います。市は、今後不急の事業を選別してカットし、一気に厳しくなった財政状況の立て直しを図る、としています。
どうなる、国の動き?
同日に開催された衆議院予算委員会では、自党の政調会長から出された、売上が落ちた飲食店などの家賃を国が負担する仕組みの提案に首相が前向きな姿勢を示し、また、野党が飲食店などの家賃支払いを支援する法案を共同提出しました。今日29日の予算委員会でも取り上げられています。
本当は、国がすぐにでも取り掛かるべきでした。
これ以上の手遅れにならないように国の動きを待たずに踏み出した鎌倉市のような場合については、国の仕組みができた段階での補填を何としてもやってもらわなくてはなりません。