あまりに遅い、国の中小企業・個人事業主向け家賃支援

5月8日、自民党・公明党は新型コロナウイルス対策の家賃支援策を取りまとめて安倍首相に提言しました。4月30日可決の第1次補正予算に次ぐ第2次補正予算案の柱にするとのことです。

今頃スピード感が大切と言われても…
野党5党が家賃支援法案を提出したのが4月28日、この日の国会審議で自民党の岸田政調会長が「融資と助成の混合型」の家賃支援に言及し、そこから与党協議が始まって昨日の提言になりました。6月17日の会期末までに成立させ、6月中の支給開始を目指すとのことで、首相は「スピード感が大切」と言ったそうです。
支給開始の6月以降は緊急事態宣言が解除される県も出ると予想され、「中小企業・個人事業主が一番苦しかった時に役に立たなかった支援策」と言われても仕方がない「スピード感」です。

4月28日は、鎌倉市では臨時会が開催され、中小企業・個人事業主に対する家賃支援の補助金12億7500万円を盛り込んだ補正予算案が議案上程されました。この予算は30日の本会議で可決・成立しており、既に5月1日から補助金の申請を受付けています。http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shoukou/yatinshienhojo.html
鎌倉市はこの補助金の財源に、国の地方創生臨時交付金(後述)を当てこむことなく、財政調整基金を取り崩して対応しました。

国の家賃支援は半年間?
首相に提言された与党案は、
対象は収入が前年同月比で半減した事業者(要件緩和で、3か月で30%減収の場合も対象とするなどの要件緩和にも言及)
家賃の3分の2(月額上限は中小事業者50万円、個人事業主25万円)を半年分助成
事業者が直接給付金を受け取るが、給付までの間は無利子・無担保の政府系金融機関の融資で資金確保し、返済の際に給付金を充当
というもので、これに「自治体が独自に実施する家賃対策にも財政支援する」という項目が付け足されています。

一方、先行した鎌倉市の支援策(詳細は上記サイト)の概要は、
対象は、令和2年4月の売上高が、前年同月と比較して5%以上減少した、鎌倉市内に本店を登記している法人と鎌倉市内に住民登録がある個人事業主
2か月分の家賃相当額を、合計売上額の減少率(6段階に分類)に応じ、法人で上限額10万円(減少率5~40%未満)から最大100万円(同80%以上)、個人事業主で5万円(同5~40%未満)から最大50万円と(同80%以上)で交付する
5月1日から郵送で受付け、5月下旬から順次交付
というものです。

支援制度を先行させた自治体はどうなるのか?
国の支援制度が減収率を鎌倉市のように複数段階に分けて上限額を設定するものになるかどうかは、詳細をこれから詰めるようなのでわかりませんが、鎌倉市が2か月分であるのに対し国が半年分であることだけを見ても事業者あたりの交付総額は国の方が多くなりそうです。
与党提言のとおりに運べば、政府系金融機関の融資が6月中から受けられるようになり、「5月下旬から順次交付」予定の鎌倉市の支援と1か月程度の差ということになります。
ここで気になるのは、与党提言に書き込まれた「自治体独自の家賃対策に財政支援」というのが、どのような形で行われるのか、ということです。

一番あってはならないのは、鎌倉市の家賃支援制度を利用した市内事業者が、国の支援制度を引き続き受ける際に不利になることです。
同様にあってはならないのは、国の支援制度に合わせて、「家賃相場を勘案した金額上乗せ」などの対策を取る自治体には財政支援を行い、鎌倉市のように先行して独自財源で対策を行ったところにはその費用を補填しない、という対応ではないでしょうか?!
なかなか腰をあげなかった国に代わって取組みを始めた自治体には、その分の経費を第2次補正予算から振り分けるべきです。

以前にも書きましたが、国は、休業要請を行った時点で「支援制度の組み立てはこれからだが、国が責任をもって支援するので、家賃や人件費などの固定費の負担のために閉店、廃業に向かわないでほしい」と表明し、家賃支払い猶予の法制化などの手立てを早急に講じるべきでした。

地方創生臨時交付金、鎌倉市は2億5千万円
最後に、既決の第1次補正予算に盛り込まれた新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について付け足します。
総額25兆7千億円のうちの約半額12兆9千億円が、1人に10万円の特別定額給付金の経費で、地方自治体への臨時交付金は1兆円にとどまりました。
しかも、1兆円のうちの3千億円は国の補助事業の地方分担分で、自治体の単独事業分は7千億円です。自治体が5月29日までに事業実施計画を提出して配分額が決まりますが、配分上限額は国から示されており、神奈川県が154億円、県内市町村の総額が156億円です。
内閣府のホームページにある交付金制度要綱に記載された市町村単独事業分の算式は< 4,800 円×人口×(0.3×A×B×α+0.7×C×β)×D >というもの。
符号に数値を代入するのが面倒で、計算をあきらめたところ、5月9日の朝刊に県内市町村の上限額一覧が載りました。
鎌倉市は2億5299万円です。人口1人当たりの配分額は1466円で県内30番目(下から4番目)。
財政力が高い自治体ほど1人当たりの配分額が少ない、いつものパターンでした。