電子クーポン配付事業の予算を削除      ~鎌倉市の地域経済の よりよい下支え策を

7月15日は午前中に本会議が開かれ、教育長人事の関連議案と補正予算案が上程されました。教育長人事は、ひとつ前の記事に書いたように即決でしたが、補正予算案は常任委員会に審査が付託されました。
今回の補正予算案の概要は次のとおりです。
2020.7月臨時会補正予算案概要(補正予算第5号)のサムネイル

このうち最も金額が大きかったのが「鎌倉応援買い物・飲食クーポン事業」です。
この事業の経費6億5千万円を補正予算案からカットする修正案を総務常任委員会で提案しました。「賛成多数は難しいだろう」という控えめな予想に反し、修正案は全会一致で可決、翌日の本会議でも全会一致で可決し、電子クーポン配付事業は予算化されないことになりました。

 

どんな事業だったのか
市内消費を喚起することで、中小事業者を支援するために、今後募集する市内の中小の小売業・飲食業・サービス業の店舗で使用できる3000円の電子クーポンを市民全員に1枚ずつ配付する(各家庭に郵送)というものです。

商工課の説明では、具体的な方法は、補正予算成立後に複数業者によるプロポーザルから決定するが、①クーポンはプリペイドカードのようなもの  ②店舗ではカードのQRコードをスマホなどで読み取ることを想定  ③読み取り用のスマホを持たない事業者には貸し出すか、カードリーダーのようなものを提供する  ④6億5千万円の経費のうち、クーポンの総額は約5億2千万円、事務費は約1億3千万円と考えている、とのことでした。

 

事業の検討経過は?
委員会の冒頭、この事業を企画した際の検討経過がわかる文書を資料請求しました。
しかし、業者からとった参考見積もりで、事務費が紙のクーポンだと1億4300万円、電子クーポンだと1億3千万円であったことが紹介されたにもかかわらず、「検討経過がわかる文書はない」という回答でした。政策会議などの庁議にも付されなかったようです。

 

なぜ修正案を出したのか

この事業の経費を削除する修正案を出したのは、日常的な買い物に現金または他のカードの代わりとして使われる可能性が高く、中小店舗の売上増につながるか不明であることに加え、事業費の中で事務経費が2割を占めるのは多すぎると考えたからです。

また、事務費の見積額では紙媒体と電子クーポンに大きな差がなく、プロポーザル次第では逆転もありうるところ、電子クーポンを選択した理由も釈然としませんでした。
「キャッシュレスありきではなかった」という商工課長の答弁はそのとおりだと受け止めましたが、最終決定をした市長は「デジタル技術を使えない、使おうとしない人々にキャッシュレス社会のメリットを体感させるよいきっかけになる」と考えたのではないでしょうか。
地域経済が厳しい状況にあって、そのような「欲張り」な発想は余計なものであると感じます。

国が途方もない借金をしてつくった財源が、国の第1次補正予算の時よりも格段に多く自治体に回ってきます。自治体としては、交付上限額までの使途を考えることになりますが、いくら国の補助金が充当されると言っても原資は税金ですから、効果が十分に期待できない事業は行うべきではありません。
コロナ対策の他の事業にも言えることですが、使ったらオシマイのバラマキを繰り返すのではなく、支援が必要なところに手を差し伸べる施策を講じるべきだと思います。