生活崩壊を防げるか〜脅かされる“仕事”と“住まい”
昨夜NHK BS1で放映されたシリーズ コロナ危機 「生活崩壊を防げるか〜脅かされる“仕事”と“住まい”〜」は、重い問いかけを発するものでした。
30以上の支援団体が加わる「新型コロナ災害緊急アクション」の活動を追い、雇い止めにあった派遣社員や自粛要請が解除されてもなお大幅な収入減が続くやフリーランス個人事業主や飲食店などの窮状を伝える内容。行政による支援策が様々に講じられても、生活崩壊の危機に直面した人たちに真っ先に支援がとどかないもどかしさを感じます。
・「新型コロナ災害緊急アクション」➡https://corona-kinkyu-action.com/
・NHK BS1「生活崩壊を防げるか〜脅かされる“仕事”と“住まい”〜」➡https://www.nhk.jp/p/bs1sp/ts/YMKV7LM62W/episode/te/K94NQX328Z/
政府の重要な義務は仕事と雇用を守ること 金を配るのは例外的な時期に限定
経済学者のジョセフ・スティグリッツ教授は朝日新聞GLOBEの取材に答えて
「政府の最も重要な義務は、国民に仕事を提供すること。ベーシックインカムはその最も重要な義務から注意をそらせる。問題は、コロナ禍の中で仕事がなくなり消費しなくなったことだ。失業した人、もしくはすべての人にお金を配るのは例外的な時期だからで、感染拡大を制御可能にするまでのサバイバルの手段と言える」
と述べて、日本政府が行った特別定額給付金が過渡的・例外的なものであることを示唆しています。
新生児と赤ちゃんへの給付金は…
鎌倉市議会7月臨時会では、市内の中小の店舗で使用できる3000円の電子クーポンを市民全員に1枚ずつ配付する「鎌倉応援買い物・飲食クーポン事業」の予算を補正予算案から減額する修正案を提起しました。それは、中小企業・店舗支援策としての効果が十分に見込めないと判断したからです。
この時の補正予算案には、新生児と胎児に対する1億4千万円の特別給付金事業も含まれていました。「国の特別定額給付金の受給対象でなかった4月28日以降出生の赤ちゃんと、7月31日までに母子健康手帳の交付を受ける胎児を対象に1人当たり10万円を給付する」のものです。
この給付金については、予算削減こそ提案はしませんでしたが、委員会で趣旨を質し、議案に対する討論で疑義を呈しました。コロナ禍で妊産婦健診を控えることがないよう、タクシー代を補助する意味合いがあるとの説明でしたが、そうした趣旨であるなら10万円という額は妥当とは言えず、「お金を配るための事業」と受けとめざるを得ませんでした。
「新しい生活様式」への対応に取り組むことを促す内閣府
内閣府は、自治体の新型コロナ対策の取組を支援するとして、2020年度第1次補正予算で1兆円、第2次補正予算で2兆円の地方創生臨時交付金を確保しています。
第2次補正予算分の先行受付は7月31日締切で9月頃交付予定、最終受付は9月30日締切で11月頃交付予定とのことです。鎌倉市は、クーポン配付事業分が減額となったため交付限度額いっぱいの申請をしておらず、別の事業で申請する余地が残されています。
それは、クーポン配付事業を修正した中小企業支援策・経済活性化策になるのか、別物になるのか…?
内閣府は、地方創生臨時交付金を活用し、地域で取り組むことを期待する政策分野を「地域未来構想20」として発表し、「新しい生活様式」等への対応に積極的に取り組むよう、自治体に促しています(下の内閣府地方創生推進室 政策資料集・抜粋参照)。
しかし、交付金の活用は、生活崩壊の危機に直面した人たちへの支援、コロナ禍のために仕事や生業をなくす人を出さないための支援であるべきではないでしょうか。