GIGAスクールの「1人1台端末」は子どもたちの学びを高めるのか(2)

「授業でのデジタル端末の利用には、適切なオケージョンを選ぶべきである」と考えるのは、学習面での配慮からだけではありません。
子ども達が学校にいる間ずっと校内無線がLANオンになっている状態は生活環境として望ましくないからです。

 

全校を一元的なシステムで管理
一般質問では、GIGAスクールで整備する校内無線LAN(Wi-Fi)について尋ねました。

鎌倉市が導入する校内無線LANは、コントローラーを設定して小中全25校を一括管理する、クラウド上の一元的なシステム管理であるとのことです。全国のほとんどの自治体で同様の方式が採用されていると思われます。
そのようにする理由として、不具合への対応などの学校の負担を軽減することを挙げていました。
無線LANは、システム上のタイマーによって全校で登校前にオン、午後6時にオフというように設定され、子ども達が学校にいる間は常時オンになります。

 

海外では校内無線LANを有線LAN に変える動きも
頭痛・不眠・疲労・集中力や免疫力の低下などの症状に苦しむ電磁波過敏症は、特異体質の人だけが発症するのではなく、電波を多く浴び続ければそれだけ発症のリスクが高まるものです。特に体が小さく体内の水分比率が高い子どもは大人よりも電波の影響を受けやすいと考えられています。

 

学校への無線LANの設置が子ども達の健康に及ぼす影響については、GIGAスクール構想が打ち出される前から懸念を表してきました。
これまで鎌倉市の小学校では、避難所となる体育館のWi-Fi環境整備や、各校に20台ずつ配置したPC端末のWi-Fi接続などに限定されていました。それが、1人に1台端末を供与して校内無線LANを整備するとなると、教室内の電力密度が桁違いに大きくなることは間違いありません。

海外に目をやれば、学校のICT化で日本に先んじた諸外国で、校内無線LANを有線LANに切り替えたり、無線LANを停止したりするなどの動きが出ています。例えば、アメリカのメリーランド州の政府系諮問委員会は、学校には無線LANではなく有線LANを設置するよう求める勧告を2016年に発表しています(※)
無線LANの撤去写真のサムネイル

(※)https://ehtrust.org/schools-worldwide-removing-wifi-reducing-exposure/

残念ながらGIGAスクールには有線LANという選択肢はありませんでした。次善の策として、クラス単位で端末を使わない時は、無線LANのアクセスポイントの電源をオフにするような技術面・運用面での融通性は確保できないのか質問したところ、「融通性の確保ができないということではないと思うが、最適な運用のあり方については今後具体的に考える」という回答でした。広く情報を集めて考えてほしいです。