野村総研跡地の利活用に              宝飾美術館を提案した事業者が辞退 !

3月1日の総務常任委員会は審議日程が多く、9時30分~22時という長時間開催となりました。
その中で行政経営部からあった報告は驚くべきものでした。
公募型プロポーザルでの提案は宝飾美術館だった
2002年に野村総合研究所から寄付を受けたまま活用されないできた梶原四丁目用地(17.5万㎡)について、鎌倉市は利活用事業を行う事業者を公募し、昨年10月19日の2事業者によるプレゼンテーションの結果、宝飾・美術品の輸入販売や展覧会の企画などを行う福岡市の会社が優先交渉権者に選定されました。
提案された事業のコンセプトは、「環境と調和する宝飾美術館・研究所を中心とした複合施設」というものでした。
次点の事業者に打診中
市は12月中にも同社と基本協定を結ぶ予定でしたが、協定を結んだという報告もないままに4か月以上が経ちました。そして委員会において「2月24日に、事業者から優先交渉権を辞退したいとの申出があった」との報告があったのです。
辞退の理由はコロナ禍の影響で、出資者の確保が困難になった、というものでした。
辞退の申し出を受けた市は、公募型プロポーザルで次点となったIT系企業(本社横浜市)に対し、事業実施に向けた基本協定の締結を打診しているとのことでした。
初期投資の規模が大きいが…
市が公募で求めた事業内容は、既存建物の撤去または改修/通行止めになっている用地内の橋の補強または架け替え/施設整備・維持管理・30年間にわたる運営/敷地内のグラウンドの一般開放などの公益事業―の実施でした。
市としては、8億円程度かかると見込まれる既存建物の撤去(改修)と橋の補強(架け替え)を民間事業者の資金でやって貰える点だけを取っても、有利な枠組みをつくったわけです。
それは、事業に参画しようとする民間事業者にとってはイニシアルコストの規模が大きいということになります。今回辞退をした会社は、事業実施のためのSPC(特別目的会社)を設立しようとして出資者が確保できなかったということです。
PPPのリスクマネジメント
市は、事業者公募に先立って様々な官民連携PPPの手法を検討し、その中から実現性がありや市側のリスクを小さくした方法を採用したものと思われます。しかし、「コロナ禍の影響があった」とは言え、思わぬ陥穽が仕組まれてました。

今後も官民連携PPPの手法で大規模事業を行っていこうとしていますが、リスクマネジメントの重要性を痛感せざるをえない結果となりました。

野村総研跡地入り口付近(2020.10撮影)