市民に身近な施設の管理運営はどう変わる?!

鎌倉市生涯学習センター条例を改正する議案が12月議会で可決し、市内6施設の利用区分や利用料金が変更され、指定管理者による管理運営に移行することになりました。

教育文化財部生涯学習課が1月15日に開催した説明会には、施設を日頃利用している多数の市民が詰めかけました。
参加者の批判は、管理運営の変更内容を決める前に利用者の意見を聞かなかったこと、利用区分(時間帯)の変更により従来の活動がしづらくなること、従来の時間帯で活動するために2枠を押さえると利用料金の負担が増大することに集中しました。

登録団体の活動状況は様々で、集会室の利用区分が2時間区切りに変わって使いやすくなった団体もないわけではありませんが、集会室の午前中の利用区分とホールの午後の利用区分については元のままにしてほしいというニーズが大きいことは確実です。
こうした市民ニーズが顧みられることなく、新利用区分に対応する施設予約システムの改修が発注されようとしているのが、鎌倉市の現状です。

指定管理者制度導入についての特集記事
もう一つの大きな変更点が指定管理者による管理運営への移行です。

既に鎌倉市の公の施設の多くに指定管理者制度が導入されていますが、このことはあまり知られていません。そこで神奈川ネットワーク運動・鎌倉では、1月21日発行の「まちづくりレポート」164号で、特集記事を組みました(下記参照)。

記事の中で、神奈川ネットが生涯学習センター条例改正議案に反対した理由を挙げました。
その中の1つが、「生涯学習についての市のヴィジョンが示されていないこと」です。教育委員会は「鎌倉市生涯学習プラン」(2021~2025年度)を作っていますが、基本目標にも施策の方針にもごく一般的なことしか書かれていません。

生涯学習振興事業団を指定管理者にしている武蔵野市
「生涯学習についての市のヴィジョンが示されていないこと」について、まちづくりレポートの記事を他市の例を引いて補足します。
武蔵野市は、2010年にスポーツ振興事業団を改めて(公財)武蔵野生涯学習振興事業団を設立しました。
同財団は武蔵野市の指定管理者として、 体育施設、野外活動施設、図書館・生涯学習支援・ 市民活動支援・青少年活動支援の4つの機能を併せ持つ「武蔵野プレイス」および吉祥寺図書館の管理・運営を行っています。
地域の5大学と連携して武蔵野地域自由大学という内容豊富な生涯学習のプラットホームも運営しています。

武蔵野プレイスについては何度も取り上げていますが(サイト内検索で見られます)、武蔵野生涯学習振興事業団の事業展開はとても参考になります。私は、生涯学習・スポーツ・市民活動支援の公益財団法人を作ることは、喧伝されて久しい行革に逆行するものではなく、市民ニーズの多様化を受けとめる今日的な意味合いがあると考えます。

鎌倉市教育委員会は、生涯学習センターの指定管理者に株式会社などの民間企業を想定しています。そうした体制で今年10月に指定管理が始まり、5年間なりの指定期間が設定されます。
鎌倉市の生涯学習のあり方を大きく捉え、「その次」の指定管理期間に向けて財団の設立を1つの選択肢とした検討を進めるべきです。一旦民間企業に委ねてしまうと、そうした展開はハードルが高そうですが、問題提起を続けていきたいと思います。
まちレポ164号1面・確定版のサムネイル