決算審査を振り返って~会派の意見(抜粋)

鎌倉市議会 決算等審査特別委員会が 9月22~29日に開催され、ネット鎌倉からは井上三華子議員が委員として審査に参加しました。

本日29日には、その前4日間の集中審議を踏まえた意見開陳が行われましたが、井上議員は家族の看護のためにやむなく欠席いたしました。
意見は既に会派としてまとめていましたが、保坂による代読は認められませんでした。
本日表明する予定だった個別事業についての意見から、本ページに5件、井上議員のホームページに6件を掲載し、公開したいと思います。
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個人情報保護制度
鎌倉市情報公開・個人情報保護運営審議会は、2021年度において、
個人情報の保護に関する諮問に対し、「感染症患者及び濃厚接触者に関する個人情報の取扱いについて」ほか3件の答申、
個人情報保護制度の改正に関する諮問に対し、「避難行動要支援者名簿の取扱いについて」ほか1件の建議をおこなっている。
このことからも、審議会が本市の個人情報保護制度の運用に果たしている役割の大きさは明らかである。

デジタル改革関連法の一部として個人情報保護法の改正が行われ、各自治体は、個人情報保護条例を全国横並びの内容となるように改正することを迫られている。
国は、個人情報に関する審議会の役割を極めて限定的なものにするように求めているが、本市の自立性と個人情報保護の水準の維持のためには、審議会が機能を発揮し続けられるよう、その位置づけや諮問の仕方を工夫していくことが必要である。

若者チャレンジ事業
「FiKA~自分に気づく6日間」の研修プログラムは、不安を抱える若い世代を後押しする目的で行われたが、
後押しが必要な人を掘り起こせたのか
6日という短期間の開催であり、参加者各自の「これから」を見据えたフォローアップが必要ではないか
ファシリテーター、メンター的なスキルの高い人材をセッティングしてくれる事業者に委託する事業展開でよいのか  ―という問題提起をさせていただく。

一過性の自己啓発セミナーの実施にならないよう、取組においては中長期的な視点が望まれる。

津波避難対策について
2021年11月に実施された沿岸部一斉津波避難訓練に参加した自治町内会等からも、「津波が到達する前に高台への避難が完了できない。適切な場所に避難場所を整備すべきである」という意見が付されている。
避難訓練やハザードマップの作成などのソフト対策だけでなく、必要な予算をつけて避難場所・避難路などのハード整備を急ぐべきである。

 

大河ドラマ館について
本市は、地元観光・商工業界からの期待・要望に応え、推進協議会を組織して大河ドラマ館を開設した。
高額な開設経費に対し、収支の均衡をはかるために入館者数の目標を50万人と設定したが、達成困難な状況である。
経費については、コンテンツ料の高さ、コロナ禍に対応した予約システムで割高となったと見られる運営管理業務委託費とともに、建物賃借料が既存施設のコロナ禍前の平均入館料収入等を勘案して妥当であったかも問われる。
所管課が経費の圧縮と大河ドラマ館開設による波及効果の拡大に努めていることは理解するが、鎌倉に相応しい観光振興について今一度見つめ直す必要がある。

歴史的遺産と共生するまちづくり推進事業
7月に文化庁により認定更新を保留する再審査の対象とされた日本遺産には、鶴岡八幡宮を初めとする社寺関係から2016年度の認定に向けて取組むよう強い要請があり、歴史的風致維持向上計画の策定作業を通じてストーリー作成のめどが立ったこともあいまって申請に至ったという経緯がある。
世界遺産登録については、歴史的遺産と共生するまちづくりをたゆまなく行えば、その先に世界遺産登録の可能性が再び見えてくるものと捉えられている。
本市にとっては、日本遺産認定も世界遺産登録もそれ自体が目標ではなく、歴史的遺産と共生するまちづくりにおけるひとつの道のりである。
現状において注力すべきは、歴史的風致維持向上計画を交通や街並みなどの都市政策や緑の保全などとも絡めながら更新していくことである。