一般質問で公共施設再編計画を取上げました(3)―消防施設

9月7日に行った一般質問の中継録画がアップされ、答弁を確認することができたので、前回・前々回記事で紹介しなかった消防施設の再編について報告します。

鎌倉消防署(由比ガ浜)

鎌倉消防署(由比ガ浜)は津波浸水想定区域内に位置しており、浄明寺出張所は2021年に敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に指定され、災害時における機能維持に課題があるとともに、建物の老朽化が進んでいます。

公共施設再編計画では、短期・中期・長期のうちの長期で対応する再編として、「鎌倉消防署の建て替え時期に合わせ、消防活動に支障をきたさない配置等の検討を踏まえた上で、統合が可能な適地を選定し浄明寺出張所と統合する」とされています。昨年、雪ノ下四丁目に移転・統合の候補地が浮上し、現在用地取得が進捗している状況です。
公共施設再編計画に再編内容を明文化し、用地探しに取組めるようにしたことが、今回の進捗につながったと言えるでしょう。

ただ、公共施設再編の観点からの評価とは別に、消防救急活動の機能の維持・向上および移転先の住環境に及ぼす影響といった観点から、候補地の適性について確認しておかなくてはならないと考えました。
《質問》
まず、用地の面積についてであるが、6月議会の総務常任委員会では、「3区画の用地取得が完了した段階で合計833.7㎡となり、玉縄出張所の敷地面積が738.9㎡なので、それを少し上回る規模である」と説明された。出張所ではなく消防署として整備するのに足りる敷地面積だと言えるのか。
総務常任委員会では、コミュニティ活動に利用してもらえるスペースを検討する、という説明もあったが、やはり気になるのは、担当エリアをカバーするのに必要な台数の消防救急車両を配備して、かつスムーズに出動できる車庫スペースが確保できる敷地面積なのか、ということだ。いかがか。
《消防長の答弁》
予定している3区画全てを取得すると敷地面積の合計は833.7㎡となり、敷地に対して建てられる施設規模は、他の消防施設と同程度であることから問題はないと考えている。現在の鎌倉消防署については、平成27(2015)年に消防本部機能が大船署に移転しているので、大きくスリム化することになる。施設規模や配置する車両等については、市全体の配置バランスを踏まえ検討している段階である。
また、現在は鎌倉・大船の2署体制としているが、雪ノ下に設置する施設を分署または出張所とし、現在の大船消防署を「鎌倉市消防署」として1署体制とすることを含め、検討している。

《質問》
県道金沢鎌倉線が候補地周辺から八幡宮東側・八幡宮にかけて渋滞することや若宮大路の混雑が緊急車両の通行の障害になることが懸念される。
消防救急の機能の維持と立地との関係では、この点が最も気になるところだが、どのように考えているのか。
《消防長の答弁》
現在の鎌倉消防署から雪ノ下地区への、出動から現場到着までの救急出動実績では、日中と夜間、平日と休日では大きな差異はない。緊急車両は一般車両と違い、渋滞の影響を受けても対応には支障がないものと考えている。
消防施設の前面道路の車両出入口には、渋滞時においても緊急車両の出動に支障がないよう、道路標示の規制、いわゆるゼブラゾーンを施す予定である。出動時や管内巡回時に渋滞を確認した時点で、無線等で指令情報課と情報を共有し、各隊へ周知を行い、その情報をもとに迂回などの出動経路を選択している。

《質問》
候補地周辺への説明会では、消防署に出入りする車両が年間3000台と推定されることや、出入りの際のサイレンや訓練時の音などで近隣の住環境に及ぼす影響が大きいと心配する声もあがったとも聞いているが、どのような対応を考えているのか。
《消防長の答弁》
緊急走行時のサイレン音やエンジンの音、訓練時の声等が発生するため、多少の影響はあるものと考えいる。今後も住民説明会を通じ、消防施設ができることで近隣住民に与える影響について丁寧に説明を行い、理解を得るように努めていきたい。
また、建設にあたっては建物の配置や、直接音が響かないように樹木等の緩衝材を設置するなどの検討をしていく。建設後は消防施設に対して理解いただくよう努めるとともに、地域交流を深めていきたい。

鎌倉消防署現在地にかかる要望
移転統合先の立地にかかる質問とは別に、鎌倉消防署については、現在の消防署がこのエリアにおいて重要な津波避難建築物であることから、移転後の跡地につくられる建物も津波避難建築物の機能を持つものにすることを要望しました。

2署体制から1署体制への移行
9月7日の私の一般質問で、消防長から鎌倉市の消防署を現在の2署体制から1署体制に移行する方向性が示されたことに対し、12日(火)に高野洋一議員が関連質問を行い、7日の質問では確認する余裕がなかった配置人員の見通しなどが明らかになったので紹介します。

《高野議員 質問》
「一署体制を検討」ということは、公共施設再編計画に書かれているのか。
《消防長の答弁》
消防施設の再編方針として「消防救急活動に支障をきたさない範囲で配置の見直しを行い、消防署・出張所数を削減する」としている。

《高野議員 質問》
(移転先で整備する消防施設を)分署または出張所とすることは、消防力の確保とどう整合性が取れるのか。
《消防長の答弁》
本市においては、消防力の整備指針で示された基準よりも多い8署所を配置しているが、再編計画では将来的に6署所とすることを位置付けている。
署所の減少にあわせ、現在の2署体制から1署体制とすることで災害時の指揮命令系統が円滑に流れ、通常時の事務処理が簡素化されることも含めて検討している段階である。
移転・統合後の配置人員や配備車両については、市内全体の消防施設の配置バランスを踏まえ、検討していく。

《高野議員 質問》
保坂議員も配備車両については聞いていたが、配置人員はどうなのか。
《消防長の答弁》
雪ノ下に設置する消防施設については、現在の鎌倉消防署と浄明寺出張所を統合した施設とすることから、配置される人員については現在の鎌倉消防署の規模を下回ることはないよう検討している。

鎌倉市消防機関分布図(現況)

行政機能を現状よりも低下させない、というのは公共施設再編における鉄則で、消防機能はその最たるものです。
そのあたりは確と認識した上で進めていこうとしていることはわかりましたが、実行段階でも貫徹してほしいと思います。