市役所本庁舎の深沢移転~「方針」は決まったが…
4月に入ってから「市役所は移転に決まってしまったの?」という質問を頻繁に受けます。
鎌倉市は深沢に移転する方針を決めました。御成の現在地の整備も含め、具体的な整備の中身を決めるのはこれからです。
鎌倉市は、市役所移転の方針を既に1年前の2016年度末に決定しており、その際「移転先は、今後1年間かけて全市的なまちづくりの視点から検討をする」としました。
2017年度は、「公的不動産利活用推進」と称して、市役所現在地(御成町)、深沢地域整備事業用地、野村総研跡地(梶原)、扇湖山荘(鎌倉山)、資生堂工場跡地(岩瀬)の5か所の利活用を検討しました。
移転先候補として検討の対象となったのは、この中の深沢と野村総研跡地ですが、1年前の時点から実質的には深沢に絞り込まれていた状況でした。
2段構えの検討で深沢移転の方針を決定し、今後基本構想・基本計画づくりへと進む…
2016年度 | 本庁舎整備方針策定委員会を設置し、1年間かけて整備方針を検討 |
2017年3月 | 「(現在地での改修や建替えではなく)移転による整備」という本庁舎整備方針を公表 |
2017年5月 | 公的不動産利活用推進委員会を開催。以降、「公的不動産利活用推進方針」の策定に向けて2018年2月までに全6回開催 |
2018年3月 | 移転先を深沢地域整備事業用地とする「公的不動産利活用推進方針」策定 |
同4月4日 | 市議会全員協議会で、移転先を深沢と決定したことを議会に報告 |
2018年度 | 本庁舎整備の基本構想を策定 |
2019年度 | 本庁舎整備の基本計画を策定 |
2025年度頃 | 移転先で本庁舎のオープン(想定スケジュール) |
今後検討される中身が大事
県内の他市でも市役所の建替え整備が相ついでいますが、「市境に近く、庁舎現在地からも鉄道の駅からも離れた場所に、官民連携(民間資金等の活用)の手法を本格的に用いて移転整備する例」はありません。
今後の基本構想・基本計画の策定にあたっては、市民生活の利便性と持続可能なまちづくりの視点からの熟慮、幅広い議論が求められます。
御成の現在地については
①現本庁舎1階にある市民サービスや相談の窓口機能を残す
②図書館、生涯学習センター、福祉センター等の周辺公共施設の移転・集約先となる、生涯学習・芸術文化・市民活動の拠点を整備
③民間の施設も整備して賑わいや憩いを生みだす
という利活用の基本方針が示されています。
建物を建てられる面積と高さの制約で整備できる床面積が限られる上に、民間施設にさかれる割合が大きいことから、①と②がコンパクトなものになるのではないかと推測されますが、公共部分の①と②については、十分な広さと、市民ニーズに適った質の確保が必要です。
それが、「本庁舎の移転」の大前提ではないでしょうか。
移転先とされた深沢地域整備事業用地については
今のところ、交通アクセスや行政施設用地周辺の整備事業用地のまちづくりを始めとして、不確定要素が多い状況です。
庁舎のあり方に限って一つだけ指摘するなら、防災対応です。
移転のメリットとして市全体の防災力を高めることが強調されているわけですから、庁舎は機能的でコンパクトなものにし、隣接の公園・スポーツ施設用地とつなげたオープンスペース(空地)の確保を目指すべきです。
【参考】2018年度予算に盛り込まれた「公共施設再編事業経費」
本庁舎等整備基本構想策定支援業務委託料 1,500万円
本庁舎等整備委員会を設置するための委員報酬 30万円
本庁舎整備基金新規積立金 50,000万円
梶原の野村総研跡地の利活用に向けた基礎調査業務委託料 760万円
扇湖山荘の利活用に向けた先導的官民連携支援事業委託料2,000万円