鎌倉市も危機的な財政状況に
電子商品券事業の業務委託先は印刷物製造会社でしたが…
市民全員に1人5000円の電子商品券を配布する事業の業務委託先を決める公募型プロポーザルが行われ、10月13日に選定結果が公表されました。大手旅行代理店ではなく、通帳や商品券などの印刷物製造会社が選ばれました。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shoukou/documents/senteikekka.pdf
電子商品券は「縁むすびカード」と名付けられ、12月上旬に各家庭に郵送されます。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/shoukou/2020ouen.html
9月28日付の記事に書いたように、神奈川ネットはこの事業の経費9億9千万円の補正予算案に反対しました。理由は複数ありますが、最大の理由は、市費を4億2千万円投入するべきではないということでした。
大規模な自然災害の発生や感染症の再拡大といった緊急事態への対応に使える財源は、できる限り余裕を持って確保しておかなくてはならないと考えます。
来年度の市税収入は26億円減収の見通し
9月議会では、財政課から「2021年度の当初予算では、市税が前年度から約26億円の大幅減収となる」という見通しが示されました。この見通しは、鎌倉市のホームページ(「令和3年度予算編成方針」にも既に載っています。
http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/zaisei/yosan-houshin-03.html
2021年度の予算編成で、第4期基本計画実施計画の重点事業のための15.5億円の財源を確保しようとすると、一般財源歳入見込み額と一般財源を充てる経常的事業の収支における不足見込み額19.5億円との合算で、約35億円の財源不足が見込まれるとのことです。
財政調整基金の残高は10億円減少
財政調整基金は、財源が著しく不足する場合に備えて保有する基金ですが、実際には基金の取り崩しなしには例年の予算編成ができません。
9月議会総務常任委員会での財政課の説明は、「予算ベースでの基金の残高は最も落ち込んだ6月時には7千万円にまで目減りし、9月議会の時点で13億円にまで回復しても、さらに年度末までに3億円を捻出しなければ予算編成時の目標額16億円に達しない」というものでした。
2020年度末の残高は、当初予算編成時に基金から繰り入れた額と実際に執行した額との差額が生じるため、その差額と上記の16億円を合わせた33億円になるとの見通しです。2019年度末残高は43.6億円だったので、10億円余も減少してしまいます。
(下記グラフは、財政課の説明を参考に作成したものです)
危機的な財政状況
既に述べた財源不足を補うため、2021年度の予算編成では「予算上の財政調整基金の取り崩し額は約35億円が必要」とのことです(市HP(「令和3年度予算編成方針」)。前年度並みの27億円の繰入ではとても足りませんし、残高が33億円では全部繰り入れても2億円不足します。そもそも緊急事態に備えて基金を全部吐き出すことはできません。
「危機的な状況」と市が認めているとおりです。
今年度の予算執行に話を戻して言えば、9月議会でも取りざたされた本庁舎整備基金新規積立金5億円の執行の是非は検討されるべきですし、電子商品券事業に市費を投ずるべきではなかった(少なくとも国の交付金の範囲で賄うべきだった)と思います。
スマートシティ構想の策定支援等業務委託の公募型プロポーザルの実施(10月14日公表 事業費限度額1千万円)も、今やらなくてはならないのですか?!