鎌倉市には携帯電話等中継基地局条例があります!

市有地に持ち上がった設置計画
 5月初旬この方、鎌倉市二階堂の旧江ノ電分譲地の住民の方から、市の道路管理地に携帯電話中継基地局を設置する計画届が出て、下請業者が計画地の近隣に説明して回ったが、建設させないようにはできないか、との御相談を受けていました。旧江ノ電分譲地と隣接の浄明寺4丁目胡桃ヶ谷には、過去にも基地局の設置計画が持ち上がっており、基地局からの電磁波の影響への住民の関心が高い地域です。基地局の設置に反対する近隣住民の有志の会は、短期間のうちに327筆の署名を集め、基地局を設置しないよう求める要望書とともに携帯電話事業者に送付、市に対しても要望書を提出しました。

 計画届が出されている道路管理地を所管する道水路管理課は、近隣の広範な住民の間で反対の意向が大多数であることを認め、「事業者から基地局設置のために道路管理地の占用の申請があっても、住民の合意がない上は占用を認めることはしない」と、このほど住民有志に回答しました。このエリアの市の道路管理地については、住民の多くが心配する基地局が立つおそれは、ほぼなくなったのではないかと思います。しかし、事業者が民有地に狙いを定める可能性は残されています。

事業者に周知に努めるよう求める鎌倉市条例
 鎌倉市には携帯電話等中継基地局の設置等に関する条例があります。http://www.city.kamakura.kanagawa.jp/soudan/keitai1.html
現在のところ、全国でただ一つの携帯電話等基地局に特化した条例です。内容的には、基地局の新設・改造をめぐって紛争が生じるのを防ぐために、事業者に計画地に近接する住民等への計画の周知と住民合意の上での事業遂行を求めるものです。

 スマートフォンや携帯電話を誰もが使う今日の状況で、市内に基地局を立てさせない、などということは不可能です。しかし、基地局からの照射の方向や土地の高低、建物の位置関係などによって、周囲よりも強い電磁波が当たる場所ができてしまうことが多々あります。そうした場所ができないように事業者に求めたり、住民が基地局側の部屋を寝室にしないなどの自己防衛策が取れるようにする意味でも、基地局設置計画をできる限り広範囲に周知させることは必要です。8月半ばに計画地から少し離れた地域の高周波の電磁波を測定器で測ってみました。EU委員会の勧告値61.4mV/mを取りあえず安全の目安として測定しましたが、それほど広くないエリアで10箇所程度測定しても、近隣の既設のアンテナ(写真)からの電磁波は10420 mV/mの間で大変バラつきがあり、道路1本、建物23軒隔てただけでも大きく異なりました。基地局の所在地を意識することは必要です。

京都市でも条例化を目指す動き
 8月は別の動きもありました。京都弁護士会所属の4名の弁護士が、鎌倉市の携帯電話等中継基地局条例の調査に来られたのです。京都市で条例化の動きを進めるための調査です。日弁連は一昨年、電磁波問題に対する意見書を出し、国に新たな安全対策の創設、実態調査、電磁波過敏症対策などを求めていますこの動きに連動した取り組みです。http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/2012/opinion_120913_4.pdf

 条例化と言っても、京都市で目指しているのは、予防原則に基づき携帯電話中継基地局の電磁波による健康被害を未然に防ぐ対策についての条例でした。特に影響を受けやすい子どもへの配慮、ということで条例化への理解を広げたいと考えているとのことでした。 鎌倉市の条例では、事業者から市に計画届出書が提出されます。条例が22年月に施行されて以降、22年度に25件、23年度に60件、24年度に54件もの計画届出書が出されたこと、幼稚園の隣地でも反対があったにもかかわらず基地局が稼働していることなどには驚かれました。京都市で子どもに配慮した全国で類を見ない条例ができることを期待します。同時に、内容的に不十分なところはあっても、鎌倉市の条例について、より多くの人に知ってもらいたいと思います。