鎌倉市役所前庭の使用不許可処分について考える集会

 市民有志による「鎌倉ピースパレード」は、6月17日と9月17日の2回のデモの集合場所として鎌倉市役所前庭の使用を求める許可申請をしました。
これに対して市は「市庁舎内行為許可に係る審査基準」第3条の「(3)特定の思想、政治的信条、宗教の普及を目的とする行為 」に該当するとして不許可の決定を下しました。
市の不許可処分は、憲法が保障する「表現・集会の自由」との関係では問題ではないか?
―こうした問題意識に立った学習会(主催 鎌倉ピースパレード)が、10月20日夜、鎌倉生涯学習センターで開催されました。
講師は、東海大学法学部教授(憲法学)の永山茂樹さんでした。

 地方自治法は、244条2項で「普通地方公共団体…は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と規定しています。
永山教授は、市役所のような官公庁舎は「公の施設」に当たらない(=庁舎は「公用施設」)という法解釈が定説であるという整理をした上で、
鎌倉市による不許可処分は、地方自治法の上位にある憲法を視野に入れて考えると看過できない問題であると強調されていました。

集会の自由を狭めさせない主張をしていく上で特に重要だと思われた指摘
市役所前庭は、「庁舎」であるとしても、公道の延長上にあり、一般市民の自由な出入りが可能となっている。
オープンな空間は集会の自由が認められる、という一般的な視点に立てば、市の管理権は庁舎(建物)と同等ではない。

市民が護憲平和を掲げて前庭に集合することによって、行政の中立性が損なわれるということはない。
多様な「特定の」思想良心・信条をもつ人々を差別なく扱うことでこそ、行政の中立性は維持される。

特定の思想などを普及する直接的な行為が、仮に庁舎管理規則や上述の審査基準に規定された申請や不許可の対象となるとしても、
ピースパレードによる前庭の使用は「集合」のためであり、普及を目的とする行為そのものではなく、準備行為に過ぎない。

庁舎管理規則や審査基準は、憲法21条や自治法244条の趣旨に合うように解釈して読み換えられなければならない。
審査基準3条3号に基づく不許可は、行為によって著しい害悪の発生する危険の蓋然性が高く(※)、かつ不許可とすることによって得られる利益が許可することによって失われる利益を上回る場合にのみ限られると解するべきだ。
(※保坂注:例えば、ヘイトスピーチ?)

憲法がうたう地方自治の本旨である住民自治や行政の中立性についての本質論に触れる機会となりました。
鎌倉市は、形式論にとらわれたり、不当な批判をおそれたりすることなく判断するべきだと思います。