大河ドラマ館開設でNEPに支払うコンテンツ使用料に驚き

さる2月3日、2022年放映予定のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を契機に観光振興等をはかるための「大河ドラマ推進協議会」が、鎌倉市・商工会議所・観光協会・鶴岡八幡宮など関係する25団体により設立されました。
3月10日の予算等審査特別委員会では、この協議会に対する「負担金」3億2273万1千円に注目が集まりました。委員会に先立って観光課から負担金の内訳に関する資料が提出されたからです。
示されたコンテンツ使用料は2年間で2億7900万円
大河ドラマ館の開設については、市長の新年度予算提案説明(2月12日)の中で言及されていましたが、
施設賃料
月額1,000万円、2021年度は6カ月で6,000万円(2022年度10カ月1億円)
というのは、施設規模からして妥当なのかどうか…というところですが、収支の均衡(入館料収入による支出のカバー)を難しくするものであることは確かです。
そして、
NHKエンタープライズ(NEP)に支払うコンテンツ料
2021年度1億8,453万円、2022年度9,407万円、合わせて約2億7900万円

というのは法外な金額としか言いようがありません。

2021年度の協議会負担金(約3億2300万円)の半額以上をNEPに支払うコンテンツ料が占めるとは!
コンテンツとは、撮影に使った衣装、撮影している風景(のスチール写真?)、ドラマのセットなどだそうです。

また、2億7千9百万円は、NEPが出してきた3種類の見積もりの最高額を示したものであって、1億円台の見積もりもある、との説明でした。

予算等審査特別委員会の委員ではないので、本日の審査には参加していませんが、2月19日に行った新年度予算についての会派代表質問では「大河ドラマ館の開設は本当に必要か」と質問しました。

その前日の18日、他会派の代表質問に、市長は「大河ドラマ館は既存施設を使わせてもらって開設する。第一候補は、鶴岡八幡宮境内の鎌倉文華館鶴岡ミュージアム」と答えました。新たに作って、ドラマが終了したら壊すようなことはしない(≒SDGsの考えに反しない)からよいのだ…とはとても言えなくなってきたのではないでしょうか。

・・・・・代表質問(該当部分抜粋)・・・・・

既存施設を用いた大河ドラマ館整備の第一候補が鎌倉文華館 鶴岡ミュージアムであること昨日はじめて知りました。
盛り上がりに水を差すようなことを申し上げますが、大河ドラマ館は整備しなければならないのでしょうか。コロナ禍で停滞を余儀なくされた地域経済が大河ドラマを契機に多くの人が来訪して活気を取り戻すことに期待するのはよくわかります。しかし、大河ドラマ推進協議会負担金に3億2千万円を充て、大河ドラマ館を整備することには素直に賛同できません。
コロナ禍が2022年に収束していれば、大河ドラマ館がなくても鎌倉には観光客が押し寄せるでしょうし、十分に収束していなければ、申し訳ないですが鎌倉観光は控えていただかざるを得ません。

大河ドラマをきっかけにこれまで脚光を浴びてこなかった歴史の一面や人物が知られるようになることに意味がある、というのであれば、国宝館や歴史文化交流館に特設展示のスペースを設ければよく、来館者も増えて一挙両得ということではないでしょうか。
上田城の城内に大駐車場があって大型観光バスがずらっと駐車できた上田市とは全く事情が違うということを顧みずに経済波及効果を言うべきではないと思います。
雪ノ下エリアの住民としてはオーバーツーリズムの問題が軽視されているようにも思わざるを得ません。
(市長からは、収支の均衡をはかる、オーバーツーリズム対策を行う、といった回答がありました。)

文華館としてリニューアルオープンする前の県立近代美術館(2013年撮影)