湘南アイパークとその周辺の「今」
アイパーク館内ツアー
藤沢市村岡東の湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)では、11月4日から本日(20日)までの土日に「ヘルスケアMaaSが拓く地域コミュニティの未来」という大規模な公開イベントが開催されていました。
私は12日開催の「村岡・深沢地区の交通状況の見える化/分析」というIT企業のプレゼンテーションと館内ツアーを申し込んでいましたが、14日の学習会(前掲記事)の準備のためにキャンセルし、再申し込みで19日午前の館内ツアーに参加しました。
1時間弱のガイド付きツアーでは、普段は見られない日本最大級の研究施設(総床面積約31万㎡)の、ラボやオフィス・食堂・休憩コーナー・図書館などが並ぶ1階とその上の1M階(メンテナンス階。会議室も配置)を、Tower1からTower5の5棟を貫通する全長430mの通路を往復して垣間見ました。
ポテンシャルをどう見る?
湘南アイパーク は、2018年4月、武田薬品工業 (株)が湘南研究所(※注)を開放することにより設立された、企業発のサイエンスパークです。製薬企業、次世代医療、AI、ベンチャーキャピタルなど約150社、2000人以上 (2022年10月現在)の企業・団体がエコシステム(独立した企業や事業・製品・サービスなどが相互依存のもと、ひとつのビジネス環境を構成する様子を生物の生態系になぞらえた呼称)を形成しているとのことです。
(※注)鎌倉市は、湘南研究所の開設にあたり、2011年2月に環境保全に関する協定を締結している。協定の覚書には、▽研究所近隣の自治・町内会の協力を得て連絡会を設置すること、▽P3施設を使用する必要のある病原性の強い特定病原体は取り扱わないこと、▽実験動物の焼却は外部へ委託することなどが明記されていた。
湘南研究所が開設から7年で閉鎖されて湘南アイパークに生まれ変わったことについては、
▽武田薬品が(アイパークの「アンカー企業」ではあり続けるにしても)実質的に撤退したことを意味するのか、
▽同社の世界戦略の一環であり、「開放型の研究開発のホットスポットにして世界的な潮流であるエコシステムのモデル」の創出を意味するのか…。
それは正直言ってわかりません。
ただ、今回初めて施設(の一般公開部分)を見て、「戦略」と「この場所のポテンシャル」という2つの言葉に現実味を感じました。
深沢地区と村岡地区を一体的に整備して新しいまちを創造しようとする鎌倉市の構想では、アイパークが起点となって、関連企業やアイパークから巣立った企業によるヘルスイノベーションが深沢地区に波及することを、鎌倉市にとっての戦略あるいはポテンシャルと捉えていると見られます。
それを「すごく可能性があることだから進めよう」とか、逆に「できっこないから止めるべきだ」と言うのではなく、そういう方向性があることを認識して深沢のまちづくりを注視していかなくてはならないと思いました。大型商業施設の問題だけではない、ということ。
周辺を歩いてみました
館内ツアーは午前の一番早い枠だったので、ゲートに到着した時にはまだ受付が始まっていませんでしたが、そこで夢みらい鎌倉の前川議員、池田議員、中里議員と一緒になり、同じ枠を申し込んでいることがわかりました。
館内ツアーの後、「自動運転車を活用した『医療×移動』に関する実証実験」も申し込んでいるという3人と別れ、新駅予定地とされている周辺を歩きながら、深沢地域整備事業用地の西の縁を通ってモノレール湘南深沢駅に向かいました。
新駅北側の交通広場予定地から柏尾川の古館橋のたもとまで20分程度、橋を渡ってすぐの深沢地域整備事業用地の北西の端から湘南深沢駅まで10分余りでした。
旅行や視察で鎌倉を2,3日離れて戻ってくると、鎌倉駅の改札を出た途端「道が狭い、建物が細々と密集している、空が小さい」と感じます(我が家が小町通りに近いせいでもある)。広大なアイパークと空が広い深沢から戻って来たこの日も同じ感じがしました。
面積40㎢の鎌倉市ですが、まちの顔は様々に異なります。
帰宅して朝刊を広げたら、国の文化審議会が小町2丁目の「本多家住宅」を国登録有形文化財に登録するよう答申したという記事が目に飛び込んできました。今後新しいまちがつくられていっても、鎌倉駅周辺地域の街並みの景観が鎌倉の大事な顔であることには変わりありません。